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-磁気マルチバイブレータとの出会い-
コアの磁気飽和を利用して発振させる2石式DC-DCコンバータである。利点は絶縁されたDC電源を2次側にいくつでも得られ,2次側を全波整流すると少ないコンデンサでもリプルの少ない電源となる。当時はトランジスタが高価だったので,フローティング電圧源を多数使用して部品数を少なくする戦略が有効であったためである。
私の出会ったのは,1次側に主コイル2つとトランジスタのベースを駆動する補助巻き線2つを持つロイヤー回路と呼ばれるGE社の特許回路であった。
トロイダルコアを使い,その材質は角型ヒステリシス特性をもつ。通常1kHzで自励発振させる。Vpが元電源でRsが起動抵抗である。トランジスタQ1とQ2が交互にオンする。
この回路はコアが飽和すると,オン側のトランジスタの電流が急増する結果,ベース電流とhFEで決まる電流値でオン側のコレクタ電圧が上昇するとともに,オフ側のベース巻き線によりオフ側のトランジスタが導通して転流する。これが正しい理解である。
アナログエンジニアはこの結論に至るまでに,足掛け3年かかっている。
途中まで同じ頃入社のST氏と議論を重ねた。彼はアナログもマイコンもこなすエンジニアであった。
後に本人から聞いた話であるが,技術では敵わないから自分は管理・経営者を目指すと言った。
同じことが私にも生じた。同年代のデジタル回路のSS氏はゲートレベルから出発してSSIにより一人でコンピュータを構築できる技量を持った人である。私は40歳前にデジタルにも興味をもったが,SS氏の大きな存在と,既に基礎から指導を受けられる立場では無かったことにより,デジタルの分野でのプロにはなれなかった。
両雄あい立たずか・・・・・。
同じ時期に,同じ職場で同じ分野の複数のプロは育ち得ないのかも知れない。
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最近コメントが増えて家主は喜んでいます。
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ロイヤー回路の詳細動作の解析は難しいです。プッシュプル動作におけるクロスカレントコンダクションが無いので,2石式でもその点は安心です。
当時の日本では,GE社の定数そのままで使っていたと聞きます。
飽和型なので,高周波SWさせるにはコア材の選定が勝負です。コアはトロイダル形が多かったですね。
投稿: 5513 | 2009年3月23日 (月) 06時20分
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お疲れ様です。
上記ロイヤー回路は、非常時に苦手です。
いまだに伝統ある回路を、ロイヤー回路を使っています。入力DC+12Vを200V 1mA出力の仕様で、数十KHz矩形で自己発振でスイッチングさせて使っています。
未だに、しくみがよくわからず使っています。
T者のトランスを使っていますが、線材や巻き方がよくわからないです。
当時の人は、どんな文献を使って回路を設計したのか、未だに謎です。
ちなみに、上記仕様の回路は、L、N社でワンチップで簡単に設計できます。非絶縁回路であるためs、スイッチングノイズが回り込みます。まだまだトランスを使ったロイヤー回路は採用することとなりそうです。
投稿: おとん@ | 2009年3月23日 (月) 00時11分