センサ/計器といえば,今や電気的出力をもつものが大半である。
そしてセンサを構成する材料・原理のの多くは,温度依存性をもつ。
センシングから電気的出力の仲立ちをするのが,精密アナログ回路である。
センサの多くは,計測のためにセンサに電気エネルギーを与えるか,測定対象からエネルギーを得て微弱信号を得る。どちらもアナログ電子回路が必要になる。
広い環境温度で信頼のおける,換言すればその出力が測定対象量にきちんと対応しているためには,一般に温度の関数であるセンシング量を実用上,温度に依存しない状態にする必要がある。この操作は温度補償と呼ばれる。
感温素子でセンサの温度を測り,増幅してAD変換-デジタル補正する手段と,全アナログ方式で行う手段やその中間的なものもある。
たとえば,抵抗変化型のセンサでは,基準電圧と基準抵抗を必要とする。抵抗変化量は相対的に小さいので,特定の条件下での実測値で基準の出力となるようにゼロ点校正を行う。さらに,センシング量を変えてスケール調整(スパン調整)を行う。必要に応じて温度も変化させて,ゼロ,スパンの温度補償を行う。これらの校正結果は調整抵抗の値や,デジタル変換後の信号処理の中で不揮発メモリに記憶される。
センサに要求される環境条件と信頼性は実にさまざまである。この環境の中でトレーサブルな値を提供することは,実に多くの工夫がなされている。
その中で,精密基準電圧源や精密抵抗の存在は大きい。これらを元に,アナログ電子回路を構築していくのである。
センサなしに現実の物理世界とのインターフェースをデジタルは行うことが出来ない。再びセンサの重要性がコンピュータ時代においても指摘される。
アナログエンジニアは現実世界とデジタルの世界の架け橋である。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な1票をよろしくお願いします。【押す】
この記事へのコメントは終了しました。
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 |