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文豪の定宿「山の上ホテル」を明大が取得 改修し営業再開目指す

[ 2024年11月16日 05:30 ]

「山の上ホテル」とその周辺図
Photo By スポニチ

明治大が15日、文豪の定宿として知られ、建物の老朽化のため休業中の東京都千代田区の「山の上ホテル」の土地と建物を取得したと発表した。山の上ホテルは1954年に開業し、今年2月12日に惜しまれながらいったん営業を終えていた。2031年の明大創立150周年の記念事業の一環で、改修した上でホテルとして営業再開を目指す。一部を、日本人だけでなく、留学生も含めた学生寮として活用する計画もあるという。同大は「営業の再開時期は未定だが、外観は維持したまま、大学の新たなシンボルとして継承していきたい」としている。

山の上ホテルは、同大駿河台キャンパスの10号館、研究棟などの建物に囲まれている。近代的な高層ビルの間で、独特なレトロな外観が観光名所にもなっていた。立地だけでなく、歴史的にも同大と関係が深い。同大によると、アールデコ様式のホテルの建物は、卒業生で石炭商だった佐藤慶太郎の寄付を基に、米国の建築家ボーリズが設計し、1937年に「佐藤新興生活館」の名称で建てられた。戦時中は海軍、戦後はGHQに接収された。返還後の54年1月、山の上ホテルとして営業を始めた。

東京の中心に位置しながら静かで、独特な雰囲気を漂わせるホテルは、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎らの文豪が宿泊の場とし、食事を取った。周囲に大手出版社が多いことから、作家が缶詰めになって原稿を仕上げるホテルでもあった。昨年11月になくなった直木賞作家の伊集院静さんも約20年間、定宿にしていた。休業中のホテルも公式サイトで「歴史と伝統を継承いただき、更に発展していくことを願っております」とコメントを発表し、期待を寄せた。SNS上には、同大の「外観を維持したままでの営業再開」の方針に、喜びの声が多数書き込まれた。

《直営レストラン4軒は営業中》 山の上ホテルは現在、ホテルの建物では休業中だが、てんぷらと洋食などの直営レストラン4軒が都内で営業している。ホテルの代名詞でもあった「てんぷら山の上」は銀座、日本橋、六本木に、洋食などの「レストランヒルトップ」はJR御茶ノ水駅前の順天堂医院内にあり、にぎわっている。ファンが待ちわびているのが「コーヒーパーラーヒルトップ」の再開。濃厚なプリンに、白鳥のシューが添えられたクラシカルな「山の上ホテルのプリンアラモード」(営業時2000円)は特に人気だった。一刻も早く、再び山の上ホテルの雰囲気を味わいたいなら、ホテル内で撮影された女優のん(31)が新人作家役で主演する映画「私にふさわしいホテル」(監督堤幸彦)の公開が来月27日に控えている。

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