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安英学氏が語る北朝鮮のサッカー事情 アカデミー→欧州で着実強化 日本戦のキーマンは韓光成

[ 2024年3月18日 04:50 ]

在日朝鮮人3世で、元北朝鮮代表MF安英学氏(本人提供写真)
Photo By 提供写真

日本代表は18日、北朝鮮との26年W杯アジア2次予選2試合(21、26日)に向け千葉県内で合宿をスタートする。アウェー戦は、約12年4カ月ぶりの平壌開催が決定するなど注目を集める対決。在日朝鮮人3世で、元北朝鮮代表として10年W杯南アフリカ大会に出場したMF安英学氏(45)が本紙のインタビューに応じ、北朝鮮のサッカー事情や試合の展望などを語った。

安氏も心待ちにしている対決がいよいよ迫ってきた。21日は国立競技場に足を運ぶ予定で「凄く楽しみです」と心を躍らせた。

北朝鮮のA代表にとって2次予選は19年11月以来、5年ぶりの国際舞台。他国にとって情報はそれほど多くないが、「サッカーは国技で、国民の関心も非常に高い。近年も国を挙げて強化を図ってきた」と強調する。

「2013年ごろ、小学生年代から優秀な子を集めて育成する平壌国際サッカー学校というアカデミーが設立された。そこからトップレベルの選手を欧州に送り込んで、継続的に強化を進めてきた」

その筆頭株が、18歳でセリエAデビューを果たし、安氏も日本戦で鍵を握る選手として期待するFW韓光成(ハン・グァンソン、25)だ。

「彼はユベントスやアルドハイル(カタール)でもプレーしましたし、凄く期待されている選手。どこまで成長しているか楽しみ。今回もチームを引っ張ってほしい」

その後、コロナ禍や国連などの経済制裁措置により、韓光成らは帰国を強いられ、チームも国際大会参加を禁止された。ただその中でも国内でしっかり強化は継続してきたという。

「国内ではリーグ戦も行われている。久々の国際大会出場となった(昨年の)アジア大会でも、(国内で)しっかりトレーニングされている印象は受けた」

今回の2試合で注目が高いのはやはり、平壌開催が決まった26日の一戦。日本にとってはザックジャパンで臨んだ11年11月のW杯アジア3次予選以来、約12年4カ月ぶりの平壌対決だ。

「僕は累積警告による出場停止で、その試合はスタンドで見ていたのですが、凄い声援で、完全なホームでしたね。なかなかあそこまで盛り上がるのは珍しい。それくらいでした」

結果は、北朝鮮が1―0で勝利。日本は今回の試合会場でもある金日成競技場の特殊な人工芝にも苦しめられた。「プロの選手たちが使っている人工芝とは違ったので、ボールの弾み方とか、転がり方とか、日本代表もやりづらそうでした」。その後、人工芝は張り替えられたとの情報もあるが、今回も事前に情報を入手できない日本にとって一筋縄でいかない一戦になりそうだ。

最後に安氏は日本との特別な2連戦へ「日本も知っている選手もいますし、当然、応援していますが、朝鮮代表と対戦するときは、もちろん僕は朝鮮代表を応援します。とにかくいい試合をしてほしいです」と期待を口にした。

≪現在は朝鮮学校でサッカースクール≫安氏は現在、月曜日に板橋区の東京朝鮮第三初級学校で、金曜日に横浜の横浜朝鮮初級学校で自身が運営するサッカースクールを開いている。また在日朝鮮人蹴球協会の理事も務め、在日選手としてW杯に出場した自身や鄭大世氏に続く選手の発掘に尽力したい考え。「代表を目指している選手たちがたくさんいるので、応援してあげたい」と話した。

◇安 英学(アン・ヨンハ)1978年(昭53)10月25日生まれ、岡山県倉敷市出身の45歳。在日朝鮮人3世で、東京朝鮮高から立正大に進学し、02年に新潟入り。03年にJ2優勝とJ1昇格に貢献し、05年に名古屋に移籍。06年からはKリーグの釜山、水原でプレーし、10年に大宮に移籍。その後は柏、横浜FCでプレーし17年3月に現役引退。北朝鮮代表は02年の韓国戦でデビューし、10年W杯南アフリカ大会に出場。国際Aマッチは39試合3得点。

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