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東大大学院准教授 4万円減税などの政策に「岸田総理に喝、例えば生活費必需品の消費税を減らしたり」

[ 2023年10月29日 09:57 ]

東京・赤坂のTBS
Photo By スポニチ

東京大学大学院准教授で、経済思想・社会思想が専門の斎藤幸平氏が29日、TBS「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。岸田文雄首相が26日、物価高の家計への影響を和らげるため、子どもなどの扶養家族を含めて1人当たり合計4万円の所得税と住民税の減税を来年6月から実施すると表明したことに言及した。

所得税と住民税が課税されない低所得世帯への給付は1世帯7万円とし、減税に先行して年内に始める。減税と給付を明記した経済対策を11月2日に閣議決定することも明らかにした。税収増の還元策の総額は5兆円規模となる。

減税方式は、所得が多いほど減税額が大きくなる「定率」ではなく、所得にかかわらず一定額を差し引く「2024年度税制改正での定額減税」と明言し、関係閣僚と自民、公明両党の幹部に制度設計を急ぐように指示。

政府は4万円減税の内訳を所得税3万円、住民税1万円とする方針。約9000万人が対象で、減税規模は3兆円台半ばとなる。納税者が会社員の場合、企業が給与から税金を天引きする源泉徴収の際に減税する。年明けに召集される通常国会での税制改正法の成立と企業の給与システム変更期間を考慮し、来年6月からの実施とした。

所得税と住民税が非課税世帯への給付は、今年3月の物価高対策で決まった3万円と合わせて計10万円となる。約1500万世帯が対象で、子育て世帯への給付は子どもの人数に応じて上乗せする方針。給付に必要な予算は少なくとも1兆円と見込み、経済対策の裏付けとなる23年度補正予算案で手当てする。開会中の臨時国会での補正予算成立は11月下旬と想定し、その後、地方自治体を通じて給付する。

斎藤氏は「岸田総理に喝だと思います。財務省と国民の間の板挟みで中途半端になっていると思う」と指摘。その理由を「インフレ対策として即効性があることをやって減税したいのであれば、例えば生活費必需品についての消費税を減らしたりゼロにしたりするとか、インボイス制度をやめるとかいろんなやり方があると思う。ただもっと長期的な目線で考えれば、岸田総理がもともと掲げていた新しい資本主義の理念に従って成長と分配の好循環をどうつくり出していくか。そのためには、少子化対策をしようとか、研究費をもっと増やしてイノベーションを起こしていくとか、そういうことにお金を使うのはありだと思う」と説明。

そのうえで「今、目先のバラまきで見えなくなっている問題というのは、長期的な円安の問題、円安は日米の金利差の話、アベノミクスの負の遺産でもありますけれど、それ以外にも日本のイノベーションが停滞する中で経済的なプレゼンスがダウンして、そういう中で円の力が弱まっている」と分析し、「こういうもっと何十年か先のことも考えて取り組まないといけない問題が、とりあえず今インフレの目先の対策でバラまきますという形で先送りになってしまうとすれば、それはむしろ日本の将来にとっても良くないことなのではと懸念しています」と自身の見解を述べた。

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