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急性出血熱患者から分離された新種のラブドウイルス
(IASR Vol. 34 p. 41: 2013年2月号)
2009年にコンゴ民主共和国のマンガラ村で原因不明の高熱、粘膜出血(鼻血、口腔内出血、眼出血、血便等)の症状を呈した患者が2名死亡した。発症は突発的で、発症後2〜3日で死亡している。その後患者が搬送された病院で患者の看護に当たった看護師1名が発症したが、輸液、輸血、抗菌薬投与などの処置により回復している。この看護師の血清中の病原体検索が次世代シークエンサーにより解析された結果、新種のラブドウイルス遺伝子が検出された。ウイルス分離は、各種細胞株への接種、マウスへの接種等が試みられたがすべて陰性であった。遺伝子配列情報から膜蛋白遺伝子を合成して、水疱性口内炎ウイルスのシュードタイプを作製して患者および接触者のウイルス中和抗体を検索した結果、回復した看護師とその看護師の看護をした1名が抗体陽性であった。このことからヒトからヒトへの感染が示唆される。初発患者2名の感染ルートは不明である。このウイルスは、マンガラ村を含む地域のBas-Congo地域の地名をとってBas-Congoウイルスと命名された。このウイルスは、ラブドウイルス科のTibrogarganグループやEphemeroウイルス、Hart Parkグループに比較的近縁である。
参考文献
Grad G, et al., PLoS Pathog 8(9): e1002924: 1-14, 2012
国立感染症研究所獣医科学部 森川 茂