令和3年7月1日からの大雨に伴い7月3日に発生した静岡県熱海(あたみ)市における大規模な土石流の被害が日々甚大なものとして明らかになっています。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。
国立感染症研究所では7月1日からの大雨被害に対して適時のリスク評価を行ってきましたが、今夏も折々の豪雨や台風などの災害級の大雨の発生時には、同様な被害がもたらされる可能性があることから、被災地の避難所、ボランティア作業での感染症発生リスクに向けた感染症対策について、地域(ここでは本州南部を想定)の最近の感染症発生動向を勘案し、全般的に今夏の水害に共通するリスク情報としてまとめた以下の表を紹介します。
避難所における感染症発生のリスクアセスメント(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/RA/r2-7-03.pdf)も合わせてご参考ください。表の解説については避難所におけるリスクアセスメントの方法・考え方について(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disasters/RAguidance20160419.pdf)をご覧ください。
なお、被災地でボランティアを計画されている皆様の感染症予防については、こちらのページをご参照ください(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/RA/r2-7-04.pdf)。令和3年7月時点での新型コロナウイルス感染症に関する追記事項としては、ボランティア参加者は、それぞれの新型コロナワクチンで必要な回数のワクチンを受けて2週間以上経過していることが望ましい点となります。
ワクチンで予防可能な疾患については、定期接種対象者が、平時にワクチンの接種を済ませておくことが重要です。済ませていない場合、速やかにワクチンを接種することが重要であり、避難所での感染対策にも有効ですが、被災中は実施主体である自治体の予防接種実施体制も影響をうけることが予想されます。そのため、本文中では定期接種の必要性を言及していませんが、被災地の実情に合わせ、定期接種の早めの接種もご検討ください。第5期定期接種対象年齢の男性(昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれ)は、クーポン券を使って、なるべく早めに風疹の抗体検査と、抗体価が低い場合はワクチンの接種を受けておくことが大切です。