ArCS II北極域研究加速プロジェクトの重点課題
ArCS II では北極域研究に関わる人材育成・研究力強化と戦略的情報発信について、重点課題として取り組みます。
- 人材育成・研究力強化では、若手人材のキャリア形成と国内研究組織の研究力強化と発展を目指します。
- 戦略的情報発信では、本プロジェクトで得られた学術的知見を迅速かつ分かりやすく社会や関係するステークホルダーに発信し、社会実装につながる情報基盤を構築します。
重点課題1 人材育成・研究力強化
研究開発、国際協力ならびに持続的な利用を基調とする我が国の北極政策において、将来の北極域研究を担う若手研究者や北極を巡る様々な課題の解決に貢献する若手人材の育成は喫緊の課題です。
重点課題1では、若手研究者などの人材を海外の北極域研究機関をはじめ観測や国際協議の現場に派遣して海外交流の実経験を積ませることによって育成し、これを組織的・継続的に実施することにより当該研究組織の研究力強化を目指します。また、ダイナミックに進展する北極域研究の国際動向を踏まえて、緊急提案課題や挑戦的・萌芽的課題を公募により実施し、プロジェクトゴールの達成に貢献します。
海外交流研究力強化プログラム
申請者個人による派遣計画ではなく、北極研究を進める大学等研究機関の研究室や連携研究グループが中心となって海外の主要な北極研究機関と複数年にわたり計画的、組織的な人的交流(派遣・招聘)を推進する 海外交流研究力強化プログラムを公募により実施します。
これにより、持続的な国際共同研究体制ならびに国際的な人的ネットワークを構築し、プログラム終了後においても長期的に国内研究組織の研究力強化と所属する若手研究者の安定したキャリアパスにつながる人材 育成を目指します。
若手人材海外派遣プログラム
個々の若手研究者や大学院生の主体的な研究計画に基づく海外派遣の機会を提供するとともに、産官セクターの若手実務者が国際会議に参加して行う発表、情報収集をはじめ、海外の産官学機関に滞在して実施する研究・交流などを支援します。若手の応募者本人が計画する自発的・自律的な海外渡航等を支援して北極域に関連する国際的な場で活躍する人材を育成することを目指しています。
北極域研究加速に向けた研究計画の公募
北極域研究に関する最新の国際動向やニーズに基づき、戦略目標の研究課題設定時に包含できなかった緊急性の高い地球規模課題や若手研究者の自発的な発想に基づく挑戦的・萌芽的な課題を公募により募集し、実施します。
重点課題2 戦略的情報発信
戦略的情報発信では、4つの戦略目標のもとに実施される各研究課題で得られる北極域の環境変化の実態と将来予測、その社会への影響評価、国際的なルール形成に資する法政策対応など最新の科学的知見や学術成果を国内外のステークホルダーに迅速かつ分かりやすく提供するとともに、その社会実装を試行・促進し、プロジェクトゴールの達成に直接的に貢献していきます。こうした目的に向けて、以下の4つの取り組みを進めます。
北極環境統合情報WEBの構築と運用
北極域に関する我が国の統合的情報プラットフォームとなるポータルサイトを構築・運用します。
国内外の多様なステークホルダーが将来にわたって利用可能な北極域に関する統合的ポータルサイトとして整備・運用を進めます。
北極海氷情報室の設置と運用
ArCSで実施した北極海氷中期予測の発信を発展させて、北極海の中期・短期海氷予測、波浪短期予測(以上戦略目標2)、氷海流出油ハザードマップ作成および航行シミュレーション(以上戦略目標3)の対外ステークホルダーへの発信とフィードバックの窓口として先端的な研究を実施する戦略目標と緊密に連携して運用を実施します。
北極航路の活用に不可欠な予測情報をステークホルダー向けに作成・発信し、その有効性を確認し、研究側にフィードバックすることにより、社会実装の方法論を迅速かつ効率的に探ります。
教育・アウトリーチの推進
北極域の気候や環境変化に関する最新の知見や情報を社会人や大学生以下の教育現場の若い世代に分かりやすく伝えるため、多元的な教育・アウトリーチを実施し、北極域を含む地球環境問題に関心を持つ人々の拡大を積極的に進めていきます。
専門家派遣と政策決定者への情報提供と対話
北極評議会(AC)をはじめとする専門家会合や作業部会等に専門家を派遣し、北極域を巡る最新情報の収集と発信を積極的に行います。派遣により収集した情報は、国際政治課題や政策対話ワーキンググループと連携して整理・分析したのち、北極政策に関わる政策決定者向けに定期的にフィードバックします。
本プロジェクトからタイムリーな情報提供や助言を行うことで、我が国の北極政策の策定においてシンクタンク的な役割を果たすことに貢献します。