複雑化する北極域政治の総合的解明と
日本の北極政策への貢献
概要
本研究課題は、ArCSにおける取り組みをさらに加速させ、北極評議会における議論のフォローアップ体制と、北極適応策に関する超学際的実践共同体(有志によるネットワーク)の構築を社会実装することを目指し、この目的に資するための政治学的研究を、サブ課題を設定して実施するものです。
第1に、在来知や伝統知識といった価値観に根差した多様な利害関係、国家当局、地方当局、非営利団体、先住民団体、科学者といった多様なアクター/ステークホルダーの間で対立と調整からなる複雑な北極域の政治プロセスを総合的に解明する研究を実施し、科学的知見の提供の精度を高めることに貢献します。
第2に、日本が北極域に関与する動機、その背景にある価値観、日本が関わることで得られる利益、国民の歴史的関心等に関する言説を明らかにし、北極域に関する国民的理解・アイデンティティの形成・変遷についての理解を深めることで、日本の利害や立場を明確にし、より国際的に信頼される存在となることに貢献します。
第3に、日本がブラックカーボン、生態系サービス評価等、海洋プラスチック、クリーンエネルギーといった戦略的な重要政策課題でリーダーシップを発揮することへ貢献するため、経済学的手法を用いた説得的な政策論研究を実施します。これらの政治学的研究および社会実装を通して、より効果的でより多くの日本のステークホルダーによる北極域での課題解決の実現に貢献します。