研究内容
共同研究
英国アバディーン大学のオーシャンラボと共同研究を進めています。
目的:深海域の総合的調査
方法:深海長期設置型観察システム(ランダーシステム)を使用した、深海域の物理、化学、地学、生態、資源の観察
HADEEP研究航海
海域
研究船
期間
Cruise 0
マリアナ海域
白鳳丸
2006年8月15日-9.6
Cruise 1
トンガ・ケルマデック海溝
ゾンネ
2007年7月1日-7.21
Cruise 2
日本海溝
白鳳丸
2007年10月27日-11.9
Cruise 3
マリアナ海域
かいれい
2007年11月26日-12.3
Cruise 4
日本海溝
白鳳丸
2008年9月24日-10.6
Cruise 5
伊豆小笠原海域
淡青丸
2009年3月13日-3.23
Cruise 6
トンガ・ケルマデック海溝
カハロア
2009年11月3日-11.12
Cruise 7
チリ海溝
ゾンネ
2010.8-30-9.17
今後の予定
Cruise 8
日本海溝
淡青丸
2011年3月15日-3.22
図1 研究航海に出る白鳳丸
→ギャラリーで航海写真を見る
研究成果
2008年10月の学術研究船白鳳丸研究航海で、房総・茨城沖の日本海溝7,703mから、これまでこのような超深海では生息しないと考えられていた大量の魚の映像を撮影することに、世界ではじめて成功しました。撮影は、ランダーにビデオカメラを取り付け、深海に降ろし、行われました。
今回、映像を撮ることに成功したシンカイクサウオ*注 は、餌として使用したサバに集まる無数のヨコエビ類を活発に摂食していました。このシンカイクサウオの仲間は、これまで、6000m以深の海溝でのみ発見されており、超深海層に生息する種と考えられます。
シンカイクサウオについては、繁殖生態、行動生態など生態的な情報がほとんどありません。今回得られた映像で、初めてその採餌行動の一端が明らかになりました。また、超深海の低い水温に適応し、少ない食べ物から得られるエネルギーをより効率よく使うために動きがゆっくりしているだろうと予測されていましたが、意外に迅速に動くこともわかりました。今回17匹の非常に活発に活動する魚が同時に撮影されたことは、生息数もこれまで考えられていたよりも多いことを示しているのかもしれません。今後、撮影された映像を使って、さまざまな解析を進めていく予定です。
図2 水深7,703mで撮影したシンカイクサウオ*注
注: この調査で撮影された魚は、当初、映像からシンカイクサウオ(Pseudoliparis amblystomopsis)と仮同定されたが、この時に採取された標本を後に佐藤 崇研究員(現・国立科学博物館研究員)が査定したところ、胸鰭に欠刻がなく、シンカイクサウオではなくチヒロクサウオ(Pseudoliparis belyaevi)であることがほぼ明らかになりました。(2013年11月28日)
若手博士研究員の研究
HADEEPでは、博士を取得してから10年以内の若手博士研究員が研究者をめざし日々研鑽をつんでいます。若手博士研究員の研究成果をご紹介します。
HADEEP若手博士研究員(日本財団リサーチフェロー)の研究テーマ
- スズキ型魚類の生息域の移行に関わる進化プロセスについての研究
- イデウシノシタにおける温度センサーの同定と機能解析
- 浮遊性有孔虫群集の初期化石化過程と環境変化
- 海底下における間隙流体による地殻変形への影響評価
- ウミガメ類の生息域選択機構に関する研究
- ウミユリ類の多様性と生態に関する研究
- 深海の微生物ループに於ける有機物フローの解明
- 海底直上における難溶解性元素の挙動解析
- 海産無脊椎動物の生殖と内分泌機構の進化と多様性
- 深海性魚類の分子系統学的研究ならびにミトコンドリアゲノムの構造進化
- 深海魚のイオン調節機能に関する分子生物学的研究
- 島弧―背弧海盆系の下に存在する微量元素に富むマントルの起源"および"北西太平洋上部マントルの不均質性の起源
- 飼育実験手法を用いた溶存酸素濃度の浮遊性有孔虫への影響の評価の検証
- 非対称的海洋底生産を引き起こす地球物理学的背景の解明
- 化学合成生物の生態の解明に関する研究
- 深海性ウナギ目魚類の生態に関する研究
- 深海サンゴを用いた高解像度での海洋深層環境の復元
[生命分野]
[地学分野]
[生態分野]
[化学分野]
過去に在籍した研究員のテーマ
[生命分野]
[地学分野]
[生態分野]
[化学分野]