中国、南シナ海問題での意外な思考原理と日本への本音
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国連の安全保障理事会は1ヵ月ごとに議長国が入れ替わるが、7月1日から日本が議長国になった。別所浩郎・国連大使は、さっそく記者会見を開き、中国が領有権を主張している南シナ海問題について「強い関心を持っており、要望があれば、国連安保理では同議題を討論する用意がある」と述べた。中国のテレビではその会見の映像を繰り返し放映している。
同時に、カンボジアのフン・セン首相が現地のイベントで「日本大使が経済支援を餌にして南シナ海問題について日本の主張を支持してもらいたがっている」と語った映像も放送されている。
南シナ海問題では、フィリピンが中国を相手どってオランダ・ハーグ常設仲裁裁判所に訴訟を提起しており、7月12日にその判断が下る予定だが、実は北京で報道に触れる限りでは、南シナ海問題で中国と対峙している国として話題に上るのは、アメリカ、日本ぐらいで、フィリピンはそれほど多くメディアには登場していない。
中国はまったくフィリピンを批判していないわけではないが、当事国同士で話し合いによって南シナ海問題を解決していきたいという姿勢は変化していない。また、多くの報道は、南シナ海問題は当事者同士の交渉によって解決すべきと主張している。
筆者が中国で接し得る日本の報道は限られているが、中国と日本で世論はかなり異なっているように思う。当然ながら、それぞれの国民の相手国に対する感情は、こうした世論の影響を強く受けていると思われる。
筆者は中国の南シナ海での行動について全面的に賛同しているわけではない。また、日本が南シナ海問題に対して、他国と連帯をとって中国包囲網を作っていこうとする思惑について分析するつもりもない。あくまでここでは、中国は南シナ海問題でなぜ今のやり方しか取らないのか、中国の専門家の意見などをまとめるに留めたいと思う。
なぜ中国ばかりが「独善的」と言われるのか
ベトナム、マレーシア、フィリピンは?
筆者が接する限り、日本における南シナ海における埋め立て関連の報道は、もちろんベトナム、フィリピンについて言及することもあるが、全体のイメージとしては「中国だけ独善的に埋め立ている」とするものが多い。特に空港建設については、ベトナム、マレーシアのケースに触れているものはほぼない。
これは中国での報道とはかなり異なる。
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