「もう、車に飛び込んで死んでしまいたい......」
心が壊れた課長を追い込む"リストラ面談"全記録

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今回は、職場でいじめ抜かれ、苦しさのあまり衝動的に、走っている車に飛び込もうとした男性の近況を紹介したい。

いわゆる「追い出し部屋」に送り込まれたこの男性と、人事部長とのやりとりを録音した音声ファイルを聞くと、職場に潜む「狂気」が見えてくる。男性の務める会社が世に言う「ブラック企業」かどうかは判断が分かれるところだが、この企業側の言い分には人の精神を破壊する仕掛けが満載であるように思う。現在、この男性と同じ境遇に置かれているビジネスマン読者にも、参考にしてほしい。

会社に必要なスキルが考慮されず
曖昧な理由で「追い出し部屋」に

「スキルが陳腐になった中高年をリストラすることで労使双方が活性化する」

「解雇規制を緩和することで、低賃金で喘ぐ20〜30代が解放される」

昨今、労働経済に詳しい識者の中からはこんな声も聞こえる。しかし、男性のようなケースを見る限り、彼らの指摘がいかに表層的なものであるかが浮き彫りになる。

本来、企業では事業効率を最大化することを目的に、人材育成や人事配置が行われるべきである。その見直しの過程で、成果を出せない社員、やる気のない社員がリストラされるのは、止むを得ないこともあるのかもしれない。

しかし実際には、「上司とそりが合わない」「周囲との関係が悪い」といった、本人の能力や実績とは関係のない曖昧な理由で、会社の覚えが悪い社員が退職勧奨を受けるケースも少なくない。

また職場では、目的の社員をリストラした後にそれを穴埋めできる適切な人数、適切な能力の人材が新たに配置されるとは限らず、残った社員の業務負担ばかりが増していくなど、むしろ現場に混乱を招くケースも散見される。解雇規制の緩和以前に、「解雇ができる体制」に職場や職務構造がなっていないことが問題だ。

一方、今の日本の労働市場では、リストラされた社員が心機一転、他の企業に転職して、前職と同水準の労働条件で第二の人生を踏み出せる可能性は、必ずしも高くない。そもそも、キャリアが市場とはマッチしない形で、つまりは、その会社に特用の形でつくられてきた以上、それは無理もない。

まさに、残る社員もリストラされる社員も、悶え苦しんでいる状況だ。本来、こうした構造にメスが入れられないと、会社員は救われない。

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