「2億円と聞いて眠気が吹き飛んだ」ユニクロ裁判で潜入記者が真っ先にやったこと

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「2億円と聞いて眠気が吹き飛んだ」ユニクロ裁判で潜入記者が真っ先にやったことPhoto:PIXTA

ユニクロ、amazon、ヤマト運輸、佐川急便からトランプ信者の団体まで――。組織に潜入し実情を掘り起こしてきた「潜入記者」が、ユニクロを展開するファーストリテイリングから、著書を訴えられた当時の心境と「真っ先にやったこと」を明かす。
(注記)本稿は、横田増生著『潜入取材、全手法』(角川新書)の一部を抜粋し再編集したものです。

出版差し止めと2億円の損害賠償で
ユニクロから訴えられる

私の枕元にあった携帯電話が鳴ったのは夜10時すぎのこと。

まどろみかけていた私は舌打ちしたい気持ちを抑えディスプレイを見る。

そこには20年来の付き合いのある友人の名前が表示されていた。

私が9時をすぎると寝ていることもあるのを知っている彼が、こんな時間に電話をしてきたことは今まで一度もない。眠りを妨げられたという不快感よりも、不吉な予感が忍び込んでくる。

電話口からは友人の興奮した声が飛び出してきた。

「横田さんの本、ユニクロの本が訴えられてますよ!」
「......」

「ヤフーニュースに、ユニクロが横田さんの本を2億円で訴える、っていう記事がでてるんですよ」

2億円という金額を聞いて、眠気が吹き飛んだ。急いでパソコンを立ち上げると、記事にはこう書いてあった。

「ユニクロを展開するファーストリテイリングが、同社の経営を題材にした単行本や週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の文藝春秋に本の出版差し止めと2億2000万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こすことがわかった」

ここから3年以上にわたるユニクロとの裁判がはじまった。2011年6月のことだった。

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