急成長「鰻の成瀬」だけが見抜いた"客の本音"、大手チェーンが絶対に真似できない独自戦略とは
詳細はこちら
「専門店のうな重」をわずか5分で提供、厨房はたった1人
うなぎ専門店「鰻の成瀬」が、2024年度の本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りに行く」(新潮社)というベストセラー小説とコラボキャンペーンを始めた。その名も「鰻の成瀬は天下に取りに行く!?」。会計時に合言葉をいうとオリジナルステッカーがもらえるというものだ。
そう聞くと、「はいはい、名前とかがカブっているとよくやるヤツね」と冷ややかに見るムキもあるだろうが、このキャンペーンそんなにバカにできたものではない。実は「鰻の成瀬」は今、ガチで天下を取りそうな勢いで店を増やしているからだ。
2022年9月に横浜に1号店を開いてまだ2年も経過していないのに40都道府県を制覇、7月中にはフランチャイズが230店舗を超えるという。運営するフランチャイズビジネスインキュベーションによれば今年中に300店を目指すというので、"全国制覇"も時間の問題だ(7月24日 日本経済新聞)。
この急成長の理由には、鰻屋はおろか外食の素人でも「美味しいうなぎ」が手軽に提供できる「軽量オペレーション」がある。具体的には、海外工場で養殖をしたニホンウナギを商社から冷凍・開いた状態で仕入れており、店ではそれを蒸しと焼きの両方ができる調理機器に入れてボタンを押すだけ、というほど効率化されているのだ。
もし「鰻の成瀬」に行くことがあったら会計のときなどに厨房を覗いてみるといい。巨大な電子レンジのような機械がドーンと置いてあるはずだ。筆者がよく行く「鰻の成瀬」は席数も少ないこともあって、厨房は若い女性が1人しかいないが、特に支障はなく5〜6分で「専門店のようなうな重」が出てくる。この調理器のおかげだ。
つまり、現場に負担の少ない「軽量オペレーション」が、「外食に参入したいけれどちょっと怖い」というような人々のフランチャイズ起業の背中を押し、それが「脅威の出店スピード」につながっているというわけだ。
あなたにおすすめ