習近平主席がブリンケン米国務長官と会談した理由、テーブル配置に透けた「狙い」
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「気球事件」で延期された
ブリンケン訪中が4カ月越しに実現
6月18〜19日、米国のアントニー・ブリンケン国務長官が中国を訪問した。バイデン政権発足以来、初となる米閣僚の訪中である。本来であれば、2月上旬にブリンケン訪中が組まれ、3期目入りを直前に控えた習近平国家主席との会談も予定されていたが、中国の偵察気球が米国の領空を侵犯したことが原因で、訪中は延期となった。その後、米軍がそれを撃ち落としたことに中国は猛反発。米中間の緊張関係は激化していった。
あれから4カ月以上がたった。18日、ブリンケン長官が、米中外相会談の会場に指定された釣魚台迎賓館内の建物の入り口に到着すると、カウンターパートである秦剛国務委員兼外相が、公用車から降りてきた同長官を自ら迎え、英語で談笑しながら建物の中に招き入れた。
秦剛は英国での勤務が長く、米国よりも欧州との外交に精通する職業外交官であるが、外相就任前は駐米大使を務めており、ブリンケンとは一定の仕事の関係を構築してきた間柄であるといえるし、二人のやりとりは実際にそういう雰囲気を醸し出していた。
二人はワーキングディナーを含めて計7時間半語り合った。中国外交部がプレスリリース用に選定し、官製メディアの報道でも使用された会談の写真も、秦剛がブリンケンと笑顔で、力強く握手をするものを用いていた。中国政府として、米中関係を安定させる、改善させるというメッセージを、国内外の世論に発信したかったのだと思われる。
一方、会談の冒頭で、秦剛は「昨今、中米関係は国交正常化(1979年1月1日)以降最悪の状況にある」と主張した。「最悪の状況」といった断定的な表現を、中国政府は安易には使わない。解釈の余地を含ませない、退路を断ったものだからである。
外相の秦剛よりも
強硬的に振る舞った王毅政治局委員
中国側がそのように認識、主張する理由が、19日にブリンケンと会談した王毅中央外事工作委員会弁公室主任兼政治局委員の言葉の中ににじみ出ている。王毅がブリンケンに対して放った言葉は、秦剛のそれと比べても強烈かつ強硬なものであった。
王毅は会談でその理由を次のように説明した。
「中米関係が悪化している根源的な理由は、米国が誤った対中認識を持っており、それが誤った対中政策を生じさせていることにある」
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