サイボウズのインフレ手当が無理でも...中小企業に「ステルス賃上げ」提案

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サイボウズのインフレ手当が無理でも...中小企業に「ステルス賃上げ」提案写真はイメージです Photo:PIXTA

サイボウズが突然
「インフレ手当」支給を発表した事情

株主総会をいちはやくニコニコ生放送の公式放送で配信したり、取締役を公募制で決めたりとユニークな経営で知られるサイボウズが、今度は「インフレ手当」をはじめると発表しました。

サイボウズと直接雇用契約を結ぶ全従業員に、日本拠点の場合は勤務時間に応じて6万〜15万円がこの7〜8月の間に支給されるということです。「日本とグローバル拠点のサイボウズ社員が生活に不安を抱くことなく業務を行えるよう」にするというのが、サイボウズの発表です。

サイボウズが公表しているインフレ手当を導入するまでの経緯や導入意図についてのまとめを読むと、日本もそうですが、最初の議論としてはサイボウズの拠点のあるアメリカやオーストラリアのインフレの影響が大きかったようです。アメリカでは足元の消費者物価が対前年で9.1%のインフレになっています。

サイボウズの給与改定は毎年1月のため、社員が半年もの間インフレへの不安を感じて仕事をする状態になります。それを何とかしなければならないというところから、検討が始まった様子です。

検討途中では給与の一定パーセントを特別賞与にする案もあったそうですが、短期的かつ急激なインフレ対応として一定額の支給を選択したそうです。フルタイム勤務なら同じ15万円の支給額になるということは、インフレに対してより大きい不安のある弱者に傾斜した対策ということになります。

サイボウズの社員の平均年齢が34.8歳、平均給与が611万円ですから、15万円は2.5%に相当します。日本の消費者物価指数の上昇はこの5月で2.1%なので、全社平均と同じ水準かそれよりも給与が低い従業員について、当面の物価不安がカバーされる水準の手当額ということになります。

一方でサイボウズによれば、「今後も継続的にインフレ特別手当を支給するの?」という質問に対する答えは「NO」です。理由は毎年の給与改定の際に参考にしている給与相場の調査自体に本来はインフレの要素が入っているからで、今回はあくまで直近の急激なインフレに対応するための「特別」な手当だという位置づけだとのことです。

さて、このニュースをうらやましいと感じる他社の従業員は多いと思います。

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