スーパーの「食品の値上げをしません」広告が、消費者にツケを回す理由
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ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により食料や肥料が高騰している。そうした中で、スーパーの「食品の値上げしません」という広告は本当に消費者の利益につながるのか。連載『農業 大予測』の#6では、食料安全保障問題の解決策について私の考えを述べる。(マイファーム代表取締役 西辻一真)
食料自給率を上げるためには
"国民皆農""自産自消"を当たり前にすべき
現在の日本の食料自給率は、カロリーベースで37%と戦後過去最低の状況だ。10年前は、「食料自給率が下がっても海外から輸入すれば大丈夫だ」という経済学者が多かった。だが、「コロナで船が来ません」「軍事侵攻への制裁中です」といった話になると、金をつぎ込んでも食料を買える状況でなくなる。
日本が経済的にも買い負けないほど豊かな状況ならいいが、残念ながら不利な状況だ。
農水省としても食料安全保障の脆弱性については自覚しており、2年前に、2030年までに食料自給率を「45%まで上げましょう」と宣言した。しかし、具体的なアイデアはまだ見つかっていない。
食料自給率を45%に向上させるには障害が多い。例えば、みんなが好きな神戸牛、松阪牛を想像してほしい。日本で飼育されている牛肉を食べたら、自給率向上に貢献しているイメージを持つと思う。しかし、実はノーカウントなのだ。その牛が食べているエサが国産なのか、外国産なのかで自給率がカウントされる仕組みになっているからだ。今の食生活のまま、食料自給率を45%まで上げようとすると、国産のエサを家畜に食べてもらう必要がある。
私が経営しているマイファームでも養鶏業をやっているが、エサの値段は前年比で1.8倍に上がっている。エサ代が値上がりした分、卵の価格に転嫁したいが消費動向を見ると厳しい状況だ。また、エサを自給するのも非常に難しい。それでもやっていかなければならないと考えているのが、「耕作放棄地で牧草を栽培する」、もしくは「放牧をしながら、エサをその場で食べてもらう」というものだ。かつては日本でもやっていた。そういうふうに耕畜連携も変わっていかなければ食料自給率を上げることは難しい。
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