食料安全保障リスクに対抗できる「日本農業の秘策」とは?農業起業家が提言

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日本農業の秘策世界有数の小麦輸出国であるウクライナで、小麦の生産が激減することが見込まれる。食料価格の高騰は避けられない Photo:4loops/gettyimages

ロシアがウクライナに軍事侵攻して2カ月が経過した。両国とも世界有数の小麦の輸出国だ。食料供給の多くを海外に依存している日本だが、今後の状況次第では、食料の輸入が困難になるかもしれない。連載『農業 大予測』の#5では、食料安全保障のために、農業関係者がやるべき秘策や方向性について私の考えを述べる。(マイファーム代表取締役 西辻一真)

ウクライナへの軍事侵攻の背景で
日本の食料安全保障が考えないといけないこと

ウクライナとロシアの戦争が起こっているが、あの地域は小麦の大規模な産地で世界に多く輸出していて約30%を生産している。この影響で、2月〜3月には小麦の価格がかなり値上がりをした。一部の経済学者は、「日本はロシアやウクライナから小麦をほとんど輸入してないから心配ない」という楽観論を展開している。

しかし、世界はつながっているので、ウクライナで小麦が収穫できないことで、ヨーロッパを中心に小麦の価格が上がる。その結果、日本が普段輸入しているアメリカ、カナダの小麦がヨーロッパに優先的に回されて、玉突き事故的に日本に入ってくる量が減っていく。要はロシア、ウクライナと日本だけの問題じゃなくて、世界の小麦需要という視点で見ないといけない。そういう意味で、食料安全保障は世界情勢のリスクにより敏感になっていく必要がある。

イタリア料理店のパスタのメニューなどで「デュラムセモリナ使用」と書かれているが、ロシアやウクライナでその小麦は作られている。イタリアでは、多くの小麦を実は輸入をしている。でもパスタといえばイタリアだ。つまり、イタリアは小麦を輸入してパスタに加工して自分たちのブランドに変えているのだ。

自分たちがイタリア産のみの小麦からできたパスタを食べたいと思ったらもちろん値上がり、希少価値が高くなるがその値上がりとともに需要量は減っていく。同様のことは日本のうどんにも同じことがいえる。「日本とウクライナ」という図式で捉えていたのが、世界の中の日本という見方をしないとますます厳しくなっていくのだ。

そうした情勢下で、食料を安定的に確保するために、農業関係者や消費者はどのように対応すればいいのか。

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