日立とソフトバンクの決算書比較が「借金戦略」最高の教科書である理由
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企業の成長のために借り入れをどう活用するかには、経営者の哲学が如実に表れる。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#14では、日立製作所とソフトバンクグループの財務戦略を比較して、両社が目指す「未来」を考えてみる。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
巨額赤字と投資先の不振
異なる経緯から資産売却を加速
片や創業110年の歴史を誇る老舗電機メーカーの日立製作所。片やベンチャーの雄からテックファンドへとなりわいを変幻自在に変えてきたソフトバンクグループ。歴史も業容も全く異なる両社だが、時期を同じくして大胆な資産の入れ替えに着手している。
まずは日立だ。リーマンショック後に巨額赤字を計上した後、容赦ない事業の「選択と集中」に着手した。中核のデジタル事業「ルマーダ事業」に経営資源を重点配分し、ルマーダとシナジーを見込めない事業を非中核と見なし事業の売却を加速してきた。
その象徴的な事例が、グループ上場子会社の売却だ。この資産入れ替え改革も終盤戦に差し掛かっている。いよいよ、日立経営陣は残る上場子会社の日立建機と日立金属を売却する方針を固めたのだ。
一方のソフトバンクグループ(SBG)はどうか。昨今、SBGや傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業の業績不振により財務体質が急激に悪化したことから、英半導体ARMの売却方針を固めるなど、日立同様に総資産の入れ替えを急いでいる。
いみじくも、日立とSBGは同時期に「資産の入れ替え」作戦を展開しているのだ。財務体質の改善という同じ目標に突き進んでいる両社だが、実は「ある財務の方針」が全く異なっている。
両社の戦略を分ける財務の方針とは、どんなものなのか。
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