日本の財政がギリシャと違って破綻しない理由
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ギリシャの財政は破綻したが、日本の財政は破綻しない。ギリシャはユーロ圏なので制約が多かったが、日本は政策の選択肢が多いからである。(経済評論家 塚崎公義)
新型コロナ不況への対応で、財政赤字が巨額に膨らんでいる。財政赤字を懸念する人もいるだろうから、財政に関する数回のシリーズを組むことにした。今回は、その第5回である。
日本人投資家が日本国債を買うので大丈夫
日本国債は、日本人投資家にとって最も安全な自国通貨建て資産である。日本政府が破産する可能性はあるが、それを嫌って外貨資産を持つと、今度は為替リスクを負うことになってしまう。
日本国債を今日買って明日売るのであれば、日本政府の倒産リスクはほとんどないから、為替リスクのある外貨資産よりも日本国債が選ばれるであろうし、明日以降の投資家も同じことを考えるだろうから、結局日本国債は保有され続けるのである。この点については拙稿をご参照いただければ幸いである。
一方、ギリシャはユーロ圏なので、ギリシャの投資家は為替リスクなしにドイツ国債などを購入することができる。わざわざギリシャ国債を買うインセンティブは(愛国心を除けば)乏しいのである。
さらに言えば、日本国債については近日中に日本政府が破産することはなさそうだと安心できるが、ギリシャ政府についてはそれもできなかった。ということは、「数カ月後にギリシャ政府が破産すると人々が考えれば、数カ月かけてギリシャ国債は値下がりしていくだろうから、今日買って明日売るだけでも損をしそうだ」ということになるのである。
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