新型コロナで「古典的詐欺」が増加、驚きの実態と予防策とは
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新型コロナの影響で苦境に陥る企業が増えるなか、そうした企業を狙った詐欺が目立ち始めている。その驚きの実態、および、だまされないための対応について、東京商工リサーチが詳しく解説する。(東京商工リサーチ情報部 増田和史)
繰り返される
M資金詐欺
神奈川県警は6月11日、詐欺の疑いで男3人を逮捕した。容疑は旧日本軍の隠し財産を提供する、いわゆる「M資金」詐欺だ。
県内の会社役員に融資話を持ち掛け、手数料として会社役員から現金1億3000万円をだまし取ったほか、余罪もあり被害は総額31億5000万円に及ぶとみられる。
M資金詐欺は企業経営者を狙った古典的詐欺として有名だ。戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が占領下の日本から財宝や資産を接収し、その一部が今でもM資金として極秘に運用されているストーリーだ。
数百〜数千億円もの資金を「選ばれた企業や人物」だけが融資を受けられるという触れ込みでターゲットに近づき、仲介手数料として先に数%をいただく。
もちろん、融資話は真っ赤なウソで、詐欺師たちは仲介手数料を手に入れると忽然(こつぜん)と姿を消す。
冷静に考えると荒唐無稽な話だが、これまでも実際に名だたる大企業の幹部や芸能人などが、用意周到な仕掛けと巧妙な話術に嵌(は)められてきた。
だまされたことが恥という心理も作用し、泣き寝入りも多い。表面化した被害は氷山の一角だ。虎の子の運転資金を突っ込み、会社存亡の危機に陥ったり、なかには自殺に追い込まれるケースも。こうした情景は、M資金専門の詐欺師たちを描き、のちに映画化された小説「人類資金」にも登場する。
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