遺伝子検査や尿・血液・唾液の一滴検査...新たな検査の真の実力は?
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時間を取られ検査には痛みも伴うがん検診。それが尿一滴、血液一滴で代替できたら。そんな虫がいい夢をかなえるような検査が次々登場している。しかし、その内情には危うさも伴う。特集『健康診断のホント』(全18回)の#13ではこうした新たな検査の真の実力を検証する。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
尿・血液・唾液一滴検査で本当は何が分かる?
リキッドバイオプシーの真実
「常識の先を行くがんの一次スクリーニング検査」――。今年1月、尿一滴から高精度でステージ0、1の早期がん15種類を発見できることが売りのサービス「N-NOSE」が事業を開始した。がんのにおいに反応する線虫を使った検査で、提携病院経由で自費9800円で受けられる。サービスを提供するのはバイオベンチャー企業のHIROTSUバイオサイエンス。創業4年目ながら、SOMPOホールディングス、第一生命ホールディングス、エイベックスなど大手企業が出資する注目企業である。
N-NOSEのように尿や血液などの体液を試料とした検査で主にがんの診断を行う方法を「リキッドバイオプシー」と呼ぶ。がんの早期発見、早期治療が叫ばれる中、体に負担の少ない検査で手軽にがんのスクリーニングができると喧伝され、世界的に注目を集めている技術だ。
下表はリキッドバイオプシー事業に参入する企業とその投資元だ。ソフトバンク・ビジョン・ファンドや米アマゾン、ビル・ゲイツ、中国テンセントなどの大手テック企業がこぞって出資する。
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日本も大手からベンチャーまでさまざまな企業が参入している。日立製作所はHIROTSUと装置開発で提携。東芝もマイクロRNAを使って血液一滴からがんを判別できる技術について「2020年からの実証実験と早期の社会実装化」を発表して話題を呼んだ。
がん検診の受診率の低さが問題視される一方で、手軽に自分の健康が分かるサービスの人気は高まり続けている。代表例が下表にまとめた、唾液などの検体を郵送するとがんや病気の発症のリスクから、ダイエットや肌質、性格まで300項目ものことが分かるという遺伝子検査だ。最大手のジーンライフには楽天やオムロンなどが出資し、すでに80万件もの受託実績を持つ。
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しかし、こうした「お手軽遺伝子検査」の問題点はこれまで度々指摘されてきた。12年に日本医学会は「遺伝子検査の多くは、個人の体質を確実に表したりある疾患を発症するかどうかについて明確な答えを与えたりするものではない」と"重大な懸念"を表明した。
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