OpenKiDS2013_S1_3 今日は、5/12日に行われた慶應SDMの一般向け公開イノベーション・ワークショップOpen KiDSの模様の概説を。
未来デザインワークショップがテーマの今回は、未来のスマホ、未来のデパート、ならびに未来のモビリティをどう設計するか、の3グループにそれぞれ分かれました。
OpenKiDS2013_S1_1 今回は2013年度に予定されているOpen KiDS4回の最初の回。慶應SDM委員長・教授の
前野先生の「責任編集」の回。そこで、デザイン思考とシステム思考という、イノベーションを起こすためにどちらも不可欠な方法論をわざと対比し、両方のアプローチの違い、そして、両方の方法論をしなやかに行き来することで、発想のシフトが起こるということを体験していただきました。
OpenKiDS2013_S1_2 左脳は論理脳、右脳は感性脳、という学説もありますが、ほんとは脳は両方ともバランスよく使う。だから、左脳=システム思考に重点、右脳=デザイン思考に重点、というのはやや不正確な言い方かも知れません。他方、講義や演習にはエンターテイメントの要素もあります。そこで、今回は参加者のみなさまにそのことをきちんとご説明したうえで、「左脳的な」システム思考と「右脳的な」デザイン思考の双方のアプローチを対比的に体験していただきました。
上の写真は、システム思考で重視されるデータ調査と分析の一例。参加者の方が、未来のスマホの消費者ニーズの聞き取りを、慶應SDMのTAに早速行っているところです。
OpenKiDS2013_S1_4 デザイン思考におけるフィールドワークやエスノグラフィ、システム思考におけるデータ調査やデータマイニング。どちらもその根っこは、顧客と企業双方の思考バイアスのパターンを知るということでは。
上の写真は、アイデア・ジェネレーションの2つの方法論、すなわち自由発想法と強制発想法のうち、自由発想法の代表格であるブレーンストーミングでアイデアをどんどん発散させているところです。
OpenKiDS2013_S1_5 その後、出たアイディアを親和図法でグループにするのですが、その際、システム思考の色彩の濃い技法のひとつであるバリューグラフを使い、親和図法でまとめた、未来のスマホなどの価値を、作成したレイヤーごとに位置づけました。
OpenKiDS2013_S1_7 自分たちの生み出した新たな価値は、バリューグラフのどこのレイヤーなのか。そして、そこをどのようにシフトさせると新しいイノベーティブな価値への転換できるのか。はずむような会話の中にも真剣な表情が垣間見えます。
OpenKiDS2013_S1_6 グループ間をまわるワンポイント・アドバイスに思わず熱が入る
白坂先生 ×ばつデザイン'思考=イノベーションなのですね。
OpenKiDS2013_S1_8 3部構成のワークショップの最後のパートは、ストーリーテリングとスキットのイノベーションに対して有する意義を勉強したあと、自分たちのグループがこの日提案したソリューションを1分間の'playback theater'で演じていただきました。下の写真は、とかく個別の移動空間と言われる車が、渋滞時にバーチャルにつながることで空間の楽しさを連帯できるようになる、というアイデアの即興劇。
OpenKiDS2013_S1_9 Open KiDSは、今年度このあと、8/25日、11/10日、2/23日の3回予定されています。申し込みは
慶應SDMのHPで、各回の少し事前に応募サイトが開設され、抽選制です。今回も200人以上の方に応募していただいたのですが、会場のキャパから抽選で120人に絞らざるを得なかったようです。参加できなかった方、本当に申し訳ございませんでした。もしよろしければ、次回もぜひ根気強く応募していただけると大変にありがたいです。
Open KiDSは、オープンでフラットな場づくりを旨としています。
Open KiDSで使用した教材は、すべて
慶應SDMのイノベーティブデザインセンター で公開されています。また、Open KiDS参加後も参加者の方々が、このスライドなどを使ってみなさまで実践
していただくことを願い、お勧めしています。そのために、
フェイスブック公開グループも開設されていて、Open KiDSや他の場での活動の報告や意見交換の場としてご利用いただいています。
×ばつデザイン'思考=イノベーションの試みが、ソーシャルイノベーションのための一種の運動化し、ネットーワークとなって広がっていき、自律的に、それぞれ孤立した点ではなく、面としての活動に盛り上がっていくことを期待しています。
Open KiDSの運営は、慶應SDMの教員・TA・学生たちのすべて無給ボランティア。他方で、昨年度の実績ベースでは、参加者お一人1回当たり、3,300円を超える費用がかかっているとのこと。付箋紙や模造紙代も結構かかりますしね。しかし、教育成果の社会的還元の見地から、今年度のOpen KiDSは実費もいただかず、完全無料化に踏み切ったとのこと。慶應義塾として有志の寄付は後日賛同者からありがたくいただくようですが、ぜひ、このような利他的かつ地道な活動が、どんどん他の場にも広がっていくといいな、と祈念しております。
- 2013年05月26日(日) 12:05:31|
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