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『格闘者1』ー前田日明の時代ー
戦後史記列伝 第一 青雲立志篇 塩澤幸登著

という分厚い本。新日本プロレスに入門し、その後格闘プロレスUWFという団体を作り、格闘王と呼ばれた前田日明の伝記。

前田日明のことが知りたいのに、半分くらい作者の話が出てくる。話の脱線が凄まじく、その度に作者自身の過去に読んだ本の引用、Wikipediaの引用、ブルース・リーの映画を空手映画と書く等の細かい間違いや、たぶんしろまるしろまるだと思う という裏を取ってない雑談のような文。

途中で投げ出しそうになったけど、逆に読んでやろうと思って550ページ全て読んだ。あとがきは途中から作者自身の差別等に対する考え方が半分以上。

これがあと2冊続編が出る(2巻は発売中)うえ一冊税別3000円。

それでも多分続編を買ってしまう。

この本のいかがわしさ、あとがきの批判封殺の強引さ、それこそが前田日明の切り開いてきた、プロレスから総合格闘技へと移り変わるときの世界観そのもののような気がするからだ。

考えてみれば今日出演してきた我々のネット番組ニコジョッキーでやってることも、これそのものじゃないかと思った。脳内で色々な話題が繋がって脱線していく様は、細かい間違いお構いなしの勢いとテンション、その場のテンポでご愛嬌。まさに脳内トーキングネットワーク。

前田日明がファイティングネットワークリングスという団体を興し、のちの格闘技界で活躍する本物の格闘家達を一人で発掘し、興行論とガチ論の狭間で闘っていた数々の試合は、今でも妄想止まらず無限に見れる。

結局、400戦無敗の男 ヒクソン・グレイシーと対戦寸前までいったのに闘うことのできなかった前田が引退後、もし闘ったらと聞かれて言ったゾクッとする含蓄深い言葉。

「ヒクソンにはな、穴があんねん」

この妙な説得力の一言で、あと何十年妄想できるだろう。

いくつになっても、中学の頃 日本武道館で行われたリングスの興行を友達と見に行き、玄人好みの寝技の攻防を息を飲んで見つめ、結局面白いのか分からないまま知ったかぶりして家に帰り、「俺は違いの分かる男だ」という自尊心にすがって、全く流行に乗れない自分を正当化していた頃のままだ。DSC_0176

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