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統計Today No.95

統計オープンデータモデル事業の実施
−地域振興とビジネスの活性化に向けて−

総務省統計局統計情報システム課長 奥田 直彦


統計オープンデータモデル事業の意義

近年、高速・大容量の通信回線が整備されて国民・企業等が容易に大量のデータを扱える環境が整い、オープンデータ、ビッグデータといった言葉に象徴されるように「データ」に対する大きな関心が寄せられています。そして、行政機関が保有する公共データのビジネス活用等への期待も高まっています。
このため、政府全体としてオープンデータへの取組を推進しているところですが、総務省においてもこれを先導すべく、統計におけるオープンデータの高度化を積極的に進めています。
このような中で、総務省統計局は、情報の共有・利用を更に深めるために、福井県、同県内の全市町村及び独立行政法人統計センターと連携して「オープンデータモデル事業」を実施します。
具体的には、統計局が提供している国勢調査や社会・人口統計体系等の統計データと福井県が提供している各種行政データをオープンデータの最高ランクであるLOD(Linked Open Data)という形式で提供します。さらに、このLOD形式の公共データを活用したアプリケーションの開発・コンテストも開催し、これらの取組を通じてオープンデータの利活用を促進します。

(注記)「統計におけるオープンデータの高度化」の詳細は、総務省統計局の以下のサイトを御覧ください。
http://www.stat.go.jp/info/kouhou/opendata/index.htm


公開レベルとLOD(Linked Open Data)

World Wide Web(WWW)の創始者であるティム・バーナーズ・リーは、オープンデータの公開レベルを次の5段階に分類しています。(図1)

  • レベル1:PDF等で公開
  • レベル2:特定のソフトウェアにより処理できる形式で公開
  • レベル3:特定のソフトウェアに依存しないオープンな標準形式で公開
  • レベル4:オープンデータの標準形式であるRDFで公開
  • レベル5:LODで公開

LODとは、関連するデータ同士が相互に結びついているデータのことで、上記のようにLOD形式での公開は最も高いレベルでの公開とされています。
現在、「政府統計の総合窓口(e-Stat)」で提供している統計データについて見ると、総務省統計局のデータは全てレベル3のCSV形式又はXML形式になっていますが、他の統計データの中にはレベル2以下のものがあるというのが実情です。


図1 5スターオープンデータによる公開レベル

[画像:オープンデータ公開レベルのイメージ図表。レベル1はデータ形式がPDF、JPGで編集不可。レベル2はデータ形式がXLS、DOCで編集可能。レベル3はデータ形式がXML、CSVで編集及び機械判読可能。レベル4はデータ形式がRDFで機械判読可能。レベル5はデータ形式がLinked-RDFで機械判読可能。]


最高ランクLODのメリット

オープンデータを利用するには、データごとに掲載場所の検索、データ内容の確認及びデータの取得を行なわなければならず、非常に手間がかかるとともに、必要なデータが取得できない可能性があります。また、データ形式も様々であるため、データ処理に時間と労力がかかります。
しかし、LODを導入すると、データ形式が統一されており、データ同士がリンクしているため、存在を認識していなかったデータも含め、一度の検索で必要なデータを漏れなく取得できるとともに、データ処理も短時間に行うことができます。これにより、効率的に幅広い情報の収集と詳細な分析利用が可能となり、新たな付加価値を創造することができるようになります。(図2)


図2 LODの普及で変わる情報の流通・取得環境

[画像:現状とLOD普及後におけるデータ流通・取得環境の違い(イメージ図)]


LODを活用したアプリケーションの未来

現在、公的機関がLOD形式のデータを公開している例は極めて少数にとどまっています(図3)。本モデル事業を契機に、今後、LODでのデータ提供が主流となり、データ同士の連携が生まれるようになれば、アプリケーション開発などの利用を通じて、新ビジネスの創出、公共サービスの向上や地域の社会・経済の活性化につながるものと期待されます。


(参考)

図3 LODを活用したアプリケーション例

【カーリル】 【横浜MAPS】

[画像:図書館検索「カーリル」の画面] [画像:横浜MAPSの画面]


  • 図書館検索「カーリル」
    国立国会図書館が提供する図書館LODを活用し、全国の約6,000以上の図書館の最新の蔵書情報と貸出状況を簡単に検索できるサービス
  • 横浜MAPS
    (公財)横浜市芸術文化財団が提供するヨコハマ・アートLODを活用し、横浜市内の身近な観光情報をリアルタイムで総合的に提供することで、横浜の魅力を感じることができるサービス

(平成27年5月22日)


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