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日本銀行の統計に関する基本的な考え方

----「統計の作成・公表、整備に関する基本的な考え方」と当面の統計整備の課題----

2009年3月31日
日本銀行

はじめに

日本銀行では、金融経済実態の把握を目的として各種のデータを収集のうえ作成・公表している統計や、日々の取引をもとに作成・公表している統計など、さまざまな統計を取り扱っています。こうした統計の作成・公表や整備に当たっては、2002年8月に公表した「金融経済統計のさらなる改善に向けて-日本銀行の基本的考え方と最近の取組み-」(日本銀行[2002])等のなかで提示した基本的な考え方に沿って、さまざまな取り組みを行っています1

この間、わが国では、2007年5月に統計法(昭和22年法律第18号。以下、「旧統計法」)が60年振りに全面改正され、本年4月からは新しい統計法(平成19年法律第53号。以下、「新統計法」)が施行されることになっています。新統計法では、「公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」との考え方の下、わが国の統計を体系的かつ効率的に整備することが明記されています。また、日本銀行が作成・公表している統計(以下、「日本銀行統計」)は、旧統計法の下では一部のみがその対象とされていましたが2、新統計法の下では、すべて公的統計と位置付けられ、新統計法の基本理念を満たすことが求められています3

政府では、本年3月、公的統計の整備に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを企図して、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(以下、「基本計画」)を閣議決定しています。基本計画では、公的統計のあるべき姿や調査環境の悪化、リソース制約など公的統計が直面する数々の課題とそれに対して講ずべき施策が、具体的に取りまとめられています。

このように、新統計法の下で、(1)日本銀行が作成・公表する統計がすべて公的統計と位置付けられたこと、(2)政府が基本計画において公的統計を巡る諸問題・課題とそれに対する施策について具体的に取りまとめたこと等を踏まえて、日本銀行では、統計の作成・公表、整備に関する基本的な考え方を改めて整理し直し、公表することとしました。

以下では、最近の日本銀行の取り組みなどを交えながら、「統計の作成・公表、整備に関する基本的な考え方」についてやや詳しく説明するとともに、当面の統計整備の課題について紹介します。

  1. 日本銀行では、2003年に統計点検を実施し、「統計点検の結果について」(日本銀行[2003])を公表しており、そのなかで「統計の作成・公表に関する基本方針」を整理していますが、内容的には「金融経済統計のさらなる改善に向けて-日本銀行の基本的考え方と最近の取組み-」(日本銀行[2002])に沿ったものとなっています。
  2. 旧統計法では、短観、企業物価指数、企業向けサービス価格指数を作成するための3つの統計調査のみが対象となっていました。
  3. 新統計法では、その基本理念を次のように述べています。
  • 第3条公的統計は、行政機関等における相互の協力及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。
  • 2公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。
  • 3公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。
  • 4公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。

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