このページの本文へ移動

統計点検の結果について

2003年10月28日
日本銀行
統計点検特別委員会

日本銀行では、8月11日に設置した「統計点検特別委員会」(委員長:恵谷調査統計局参事役)が中心となって、私どもが作成・公表している統計の点検作業に取り組んでまいりましたが、本日、その結果がまとまりましたので、公表します。

1.統計点検の方法と点検結果

(1)統計点検の方法

今回の統計点検では、統計点検特別委員会が、統計の作成・公表にいたるプロセスにおいて誤りができる限り発生しないような仕組みがとられているか、また、仮に誤りが発生した場合には、迅速に正しい計数を公表するなどの対応を行う体制となっているか、という点について、全統計共通の点検項目を策定した。

点検項目は、具体的には、(1)データ提供者との間での提供データの定義に関する理解の共有、(2)他の情報等を用いた計数の妥当性の検証、(3)統計の作成・公表過程における権限と責任の明確化の3つの重点点検項目に、(4)統計作成に関する機密管理、(5)統計の作成・公表等に関するルールの透明性の2つの項目を加えた、合計5つの項目からなり、各局室は、その点検項目に基づき、それぞれが所掌する全ての統計についてチェックを行った。

また、1つの統計の作成・公表に複数の部署が関わっている場合には、各部署が分担している事務内容をそれぞれ点検したうえで、統計点検特別委員会において最終的に全体を確認した。

(2)統計点検の対象

今回の統計点検は、日本銀行が、ホームページ、金融経済統計月報などを利用して公表している全ての統計(92種類の統計、約7.5万系列)を対象とした(別紙1)

(3)統計点検の結果

今回の点検作業の結果、日本銀行が作成・公表している統計については、準備預金関連統計(先月初に訂正・公表済)を除き、集計方法等の誤りは発見されなかった。

なお、統計の作成・公表に関する事務運営面では、複数の部署が関与する場合や、参考計数として日本銀行内部において集計・利用していたものを統計として公表する扱いに変更した場合を中心に、一部改善の余地が認められ、これらについては、以下のような対応を行った。

【今回の点検に併せて実施した主な対応】

  • データ提供者が誤解しかねないような調査項目等については、説明をよりわかりやすいものに変更することとしたほか、必要に応じ資料を送付するなど、内容の周知徹底を図ることとした。
  • 統計の作成・公表事務について、責任者に関する定めが明文化されていなかった部署において、局長等が責任者を書面で定めることとした。
  • 複数の部署が作成・公表に関与している統計のうち、訂正が必要となった場合などの連絡・対応等について責任関係が曖昧だったものについて、それぞれの部署の責任範囲を明確化することとした。
  • 統計上の定義について、利用者の利便性向上の観点から、ホームページや金融経済統計月報等に補足説明を加えることとした。
  • 公表統計のホームページへの掲載を拡充するなど、提供方法を一部改善することとした。
  • 作成完了から公表までの時間短縮が可能な統計について、公表を早期化することとした。

2.今後の対応方針

日本銀行では、かねてより、(1)統計の作成・公表等にかかるルールの透明性の向上、(2)金融経済構造等の変化を適切に反映した正確・的確な統計の提供、(3)多様化・高度化するユーザー・ニーズの的確な把握、および(4)データ提供者の負担の軽減といった点を念頭に置いて統計の作成・公表に取り組んできた。こうした基本的な考え方を踏まえつつ、今後、以下のような具体的な対応を図ることとする。

  1. (1)統計の作成、公表については、別紙2の基本方針を改めて徹底する。
  2. (2)統計作成・公表局室において、統計の作成・公表に関する関係局室間の連絡等の責任者として、新たに統計担当責任者(原則として調査役クラス)を置く。
  3. (3)統計作成・公表部署の職員に対し、研修などの一層の充実を図る。

なお、日本銀行では、先般、「統計照会窓口」(注)を情報サービス局に設置し、日本銀行の統計をご利用の皆様のご意見あるいはご照会を一元的に受け付けている。今後とも頂いたご意見等をもとに、統計の正確性、適切性、利便性などを一層高めていく方針である。

  • (注)連絡先:電話番号 03-3279-1111(内線4628、4639)
    e-mail アドレス prd@info.boj.or.jp
    月〜金(除く祝日、12月31日〜1月3日)

以上


(別紙1)

日本銀行公表統計一覧(2003年10月現在)
統計名称 期種 統計名称 期種
1 公定歩合 変更時 47 各種貸出残高 月次
2 準備預金積立て状況等 月次 48 貸出・資金吸収動向等 (速報) 月次
3 準備預金額 月次 49 コミットメントライン契約額、利用額 月次
4 日銀当座預金増減要因と金融調節 日次 50 主要銀行貸出動向アンケート調査 四半期
5 日銀当座預金増減要因と金融調節(実績) 月次 51 全国銀行の決算状況 半期
6 日銀当座預金増減要因(見込み) 月次 52 集計レポレート(日次) 日次
7 短期市場オペレーション 月次 53 コールレート 月次
8 オペ落札結果 随時 54 集計レポレート(月次) 月次
9 マネタリーベース 月次 55 国内コマーシャルペーパー発行平均金利 月次
10 マネタリーベースと日本銀行の取引 月次 56 譲渡性預金平均金利(新規発行分) 月次
11 主要勘定 日次 57 ジャパンプレミアム 月次
12 営業毎旬報告 旬次 58 公社債応募者利回および発行条件 月次
13 日本銀行勘定 月次 59 無担保コールO/N物レート 日次
14 日本銀行貸出 月次 60 コール市場残高 月次
15 日本銀行が保有する国債の銘柄別残高 月次 61 譲渡性預金発行残高 月次
16 日本銀行による短期国債の銘柄別買入額 月次 62 公社債消化状況(利付国債) 月次
17 最近5ヶ年間の日本銀行保有の国債の移動状況 年次 63 公社債発行・償還および現存額(国内起債分) 月次
18 日本銀行が受入れている担保の残高 月次 64 公社債発行額(海外起債分) 月次
19 マネーサプライ 月次 65 国債窓口販売額・窓口販売率 月次
20 マネーサプライ (M2+CD)増減と信用面の対応 月次 66 外国為替市況 日次
21 マネタリーサーベイ 月次 67 為替情報テレフォンサービス 日次
22 通貨流通高 月次 68 外国為替相場(ベンダー情報) 日次
23 銀行券および貨幣受払高 年次 69 外国為替相場状況 月次
24 年末銀行券発行高 年次 70 実効為替レート 月次
25 国内銀行の資産・負債等(銀行勘定) 月次 71 決済動向 月次
26 国内銀行の資産・負債等(銀行勘定)<平残> 月次 72 国債決済関連計数 月次
27 国内銀行の資産・負債(信託勘定) 月次 73 財政資金収支 月次
28 国内銀行海外支店の主要資産・負債 月次 74 政府債務 月次
29 外国銀行在日支店の主要資産・負債 月次 75 BIS国際資金取引統計(日本分集計結果) 四半期
30 証券金融会社の主要資産・負債等 月次 76 BIS国際与信統計(日本分集計結果) 四半期
31 預金種類別店頭表示金利の平均年利率等 週次 77 デリバティブ取引に関する定例市場報告(吉国委統計) 半期
32 国内銀行貸出約定平均金利 月次 78 外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ 3年毎
33 定期預金の預入期間別平均金利 (新規受入分) 月次 79 資金循環勘定 四半期
34 普通預金金利 月次 80 企業物価指数 月次
35 預金者別預金(月次) 月次 81 企業向けサービス価格指数 月次
36 預金者別預金(半期) 半期 82 製造業部門別投入・産出物価指数 月次
37 民間金融機関海外店における本邦居住者預金 四半期 83 日本銀行 国際商品指数 月次
38 都道府県別預金・現金・貸出金 月次 84 短観(企業短期経済観測調査)(全国短観) 四半期
39 定期預金の残高および新規受入高 月次 85 短観(企業短期経済観測調査)(主要短観) 四半期
40 預金・現金・貸出金 月次 86 国際収支統計(地域別および銀行等対外資産負債残高を含む) 月次
41 貸出先別貸出金(月次) 月次 87 対外債務統計 四半期
42 貸出先別貸出金(四半期) 四半期 88 実質輸出入 月次
43 利率別貸出金 月次 89 手形売買レート(2001年3月まで) 月次
44 個人向け貸出金:国内銀行、信用金庫 月次 90 手形売買市場資金残高(2001年3月まで) 月次
45 都道府県別貸出先別貸出金 年次 91 郵便貯金金利(2003年3月まで) 月次
46 担保別貸出金 年次 92 投資一任業者契約状況(2002年第2四半期まで) 四半期

(別紙2)

統計の作成・公表に関する基本方針

  1. (1)統計は、可能な限り早期に作成し、作成後速やかに公表する。
    • 統計の公表は、日本銀行ホームページ(英語版を含む。以下、ホームページという。)を通じて行うことを基本とする。
    • 原則として統計は事前に公表日程をホームページに公表する。
  2. (2)利用者に対し、利便性向上の観点から、統計の定義・作成方法等に関する十分な情報を提供する。
    • 統計の利用上の注意事項、質疑応答集などの解説を必要に応じてホームページなどに掲載する。
    • 利用者の理解促進のため、定義・作成方法等の複雑な統計については、ホームページなどにその内容を掲載する。
    • 統計の定義・作成方法に関する照会には速やかに対応する。
    • 統計の作成方法等に変更があった場合は速やかに公表する。
  3. (3)データ提供者に対し、統計の重要性、内容等に関する理解が深まるように働きかける。
    • 統計の精度を高めるため、データ提供者に対して、統計の内容や提供データの定義について十分な説明を行い、統計の重要性について理解を得る。
  4. (4)統計に訂正がある場合は速やかに公表する。
    • 統計の訂正内容は、ホームページなどに掲載する。
  5. (5)統計の作成・公表の範囲、内容について不断に見直していく。
    • こうした見直しを行う場合には、金融経済構造等の変化やデータ提供者の負担などを勘案する。また、必要に応じて事前に外部意見を聴取するなど、利用者やデータ提供者の事情も十分に考慮する。

以上

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /