健康・医療民泊サービスと旅館業法に関するQ&A
Q1 旅館業とはどのようなものですか。
A1 旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。そのため、「宿泊料」(Q9参照)を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。
なお、旅館業がアパート等の貸室業と違う点は、
- (1)施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること、
- (2)施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこととなります。
Q2 旅館業の許可には、どういった種類のものがありますか。
A2 旅館業法では、旅館業を次の3つに分類しています。
- (1)旅館・ホテル営業:施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、簡易宿泊営業及び下宿営業以外のもの
- (2)簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの
- (3)下宿営業:施設を設け、1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業
Q3 「民泊サービス」とは、どのようなものですか。
A3 法令上の定めはありませんが、住宅(戸建住宅、共同住宅等)の全部又は一部を活用して宿泊サービスを提供することを指します。住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業の届出を行う場合や、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除くと、簡易宿泊営業として旅館業法上の許可を取得して実施する場合が一般的です。
Q4 個人が自宅の一部を利用して人を宿泊させる場合は、旅館業法上の許可が必要ですか。
A4 個人が自宅や空き家の一部を利用して行う場合であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です。
Q5 知人・友人を宿泊させる場合でも旅館業法上の許可は必要ですか。
A5 旅館業に該当する「営業」とは、「社会性をもって継続反復されているもの」となります。ここでいう「社会性をもって」とは、社会通念上、個人生活上の行為として行われる範囲を超える行為として行われるものであり、一般的には、知人・友人を宿泊させる場合は、「社会性をもって」には当たらず、旅館業法上の許可は不要と考えられます。「知人」「友人」と称していても、事実上広く宿泊者の募集を行い、繰り返し人を宿泊させる場合は、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です。
Q6 インターネットを介して知り合った外国の方が来日した際に、自宅の空き部屋に泊まってもらいました。その際、お礼としてお金をもらいましたが、問題ないでしょうか。
A6 日頃から交友関係にある外国の方を泊められる場合は、Q5の場合と同様と考えられます。ただし、インターネットサイト等を利用して、広く宿泊者の募集を行い、繰り返し人を宿泊させ得る状態にある場合は、「社会性をもって継続反復されているもの」に当たります。このような場合で、宿泊料と見なされるものを受け取る場合は、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業の許可を受ける必要があります。
Q7 営利を目的としてではなく、人とのコミュニケーションなど交流を目的として宿泊させる場合でも、旅館業法上の許可は必要ですか。
A7 人とのコミュニケーションなど交流を目的とすることだけでは旅館業法の対象外とならないため、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です。
Q8 土日のみに限定して宿泊サービスを提供する場合であっても、旅館業法上の許可は必要ですか。
A8 日数や曜日をあらかじめ限定した場合であっても、宿泊料を受けて人を宿泊させる行為が反復継続して行われ得る状態にある場合は、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です。
Q9 「宿泊料」ではなく、例えば「体験料」など別の名目で料金を徴収すれば旅館業法上の許可は不要ですか。
A9 「宿泊料」とは、名目だけではなく、実質的に寝具や部屋の使用料とみなされる、休憩料、寝具賃貸料、寝具等のクリーニング代、光熱水道費、室内清掃費などが含まれます。このため、これらの費用を徴収して人を宿泊させる営業を行う場合には、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です。
Q10 旅館業法上の許可を受けないで、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」を行った場合はどうなりますか。
A10 旅館業法第10条では、許可を受けないで旅館業を経営した者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することとされています。
Q11 旅館業法上の許可を受けるにはどうすればいいですか。
A11 使用する予定の施設の所在する都道府県(保健所を設置する市、特別区を含む。)で申請の受付や事前相談等を行っています。
Q12 平成28年4月から規制緩和が行われ、「民泊サービス」の営業がしやすくなったと聞きましたが、どのような緩和が行われたのでしょうか。旅館業法上の許可を受けずにできるということでしょうか。
A12 「民泊サービス」の場合であっても、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合(Q1参照)には、住宅宿泊事業法による住宅宿泊事業としての届出を行うか、国家戦略特別区域法の特区民泊の認定を受ける場合を除き、旅館業法上の許可が必要です(Q4参照)。
平成28年4月の規制緩和により、簡易宿所営業の許可要件である客室延床面積(33m2以上)の基準を改正し、一度に宿泊させる宿泊者数が10 人未満の施設の場合には、宿泊者1人当たり面積3.3 m2に宿泊者数を乗じた面積以上で許可を受けられることとしました。これにより、従来より容易に旅館業の営業許可を取得することができるようになっています。
営業許可の申請手続については、都道府県等の旅館業法担当窓口にご相談下さい。(Q11 参照)
Q13 「民泊サービス」を実施するため旅館業法上の許可を受けようとする場合は、自己所有の建物でなければならないのでしょうか。賃貸物件を転貸(いわゆる又貸し)することはできるのでしょうか。
A13 「民泊サービス」を実施するため旅館業法上の許可を受けようとする場合、ご自身の所有する建物を使用する場合と他者から建物を借り受けて実施する場合が考えられますが、いずれの場合でも営業許可を受けることは可能です。ただし、他者から建物を借り受けて営業を行う場合は、賃貸借契約において、転貸(又貸し)が禁止されていないことや、旅館業に使用することが可能となっていることを貸主や賃貸住宅の管理会社に確認いただく必要があります。
なお、賃貸借契約において、旅館業としての使用が可能な場合であっても、使用予定の建物が所在する地域において旅館業の立地が禁止されている場合があります。また、建築基準法の用途変更の建築確認の手続きが必要となる場合があります。詳しくは、都道府県等の建築基準法担当窓口にご相談下さい。
Q14 分譲マンションを所有しているのですが、空いている部屋を使って「民泊サービス」を実施することは可能でしょうか。
A14 分譲マンションの場合、通常はマンションの管理規約等で用途を制限しておりますので、管理規約等を確認いただく必要があります。また、トラブル防止の観点から事前に管理組合に相談されるなどの対応が望まれます。なお、管理規約上は、旅館業(「民泊サービス」を含む。)としての使用が可能な場合であっても、使用予定の建物が所在する地域において旅館業の立地が禁止されている場合があります。また、建築基準法の用途変更の建築確認の手続きが必要となる場合があります。詳しくは、都道府県等の建築基準法担当窓口にご相談下さい。
Q15 「イベントホームステイ(イベント民泊)」というものがあると聞きましたが、どのようなものですか。
A15 いわゆる「イベントホームステイ(イベント民泊)」とは、年数回程度(1回当たり2〜3日程度)のイベント開催時であって、宿泊施設の不足が見込まれることにより、イベント開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものについては、旅館業法の営業許可を受けずに宿泊サービスが提供できることを指します。なお、イベントホームステイ(イベント民泊)については、「イベント民泊ガイドライン(イベントホームステイガイドライン)」を作成していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。