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2014年6月21日 (土)
「発展レベル」テスト まずは必要性と緊急性の共通認識を
大学入試センター試験に代わる「達成度テスト(発展レベル)」(仮称)をめぐって、20日の中央教育審議会高大接続特別部会で「早ければ平成33(2011)年度大学入学者選抜からの段階的実施を目指す」という目標が示された。学習指導要領の改訂に合わせず、現行教育課程の下でも可能な範囲で入試改革を急ぎたい姿勢を示したものと言える。
本来なら初等中等教育の教育課程改革に合わせた方がすっきりするのだが、それだけ高校・大学の教育とセットで入試を改善することが急務だという判断なのだろう。次期改訂で中心に据えられるべき「資質・能力」育成は現行課程でも大いに先取りすべきものだ。教育関係者も生徒・保護者も一般国民も、1点刻みの受験競争という固定観念から一刻も早く脱却しなければならない。
そうはいっても、長い歴史のうちにこびり付いた入試観・受験観の転換は難しい。提言する側である同部会委員の中にすら、本当に改革の意義を理解しているのか疑わしい節もある。
審議会行政の在り方を論じるなら、部会長=事務局主導の運営に疑義を差し挟むこともできよう。しかし、利益代表のような発言に終始する一部委員の姿勢もいただけない。そもそもの人選ミスだと言っては言い過ぎだろうが、物事の本質が分かっている大学・高校関係委員はこの日ちゃんと建設的な修正意見を出していた。
本社の立場はこれまで論じてきた通りである。今後の時代に対応するためには資質・能力に基づく教育課程改革と、高大の教育・入試両面での接続改善が避けられない。いや、大学全入時代に入ったというのに依然として受験偏重の教育から脱却できない事態が問題なのだ。抜本的な改革を進めるには、荒療治もやむを得ない。
高校関係者は受験生への影響だの現場の指導のしにくさだの、現行の受験体制を前提にした消極論を語っている場合ではない。新しい時代に合わせてどういう生徒を育てるか、そのために教育活動をどう改めるのかを、真剣に検討することが迫られている。進路実現の美名の下に合格を至上目的にした指導を続けることが卒業生にとって時に逆効果になっていることを、よくよく認識すべきだ。
生徒・保護者側も意識を変える必要がある。進学校や有名大学に進学できたからといって、それは必ずしも「あなた」の成功を保証するものではない。これからは学校時代に社会でも通用する力をつけたかどうかが厳しく問われる時代になる。「あなた」のためにも、入試改革は急務なのだ。
こう書いても、何を言っているのか理解できない人は多いだろう。それだけ今回の入試改革がなぜ必要なのかを理解することは難しい。報道ぶりを見ても、一部を除いて改革の本質に迫った記事は少ない。表面的な報道の断片だけに過剰反応して改革の是非を論じていても、的外れにしかならない。
文部科学省にも要望したい。資質・能力に基づく教育課程改革と大学入試改革を一体のものとして、その必要性を国民に分かりやすい形で訴えるべきだ。まだ諮問もしていないから、中教審の審議を待ってからという建前は要らない。第2期教育振興基本計画という、立派な根拠があるではないか。もっと言えば、目玉を別のところに置きたい政権の思惑にも遠慮している場合ではない。
30日の中教審総会に向けて、答申案も大幅に書き換えられるようである。改革の必要性を広く国民の共通認識にするためにも、まずは分かりやすい答申文を求めたい。本社もマスコミの最末端として、今後とも本質を伝える報道・解説の配信に努める決意である。
【過去の社説】
高大接続テスト 先送りでも済まない「全入時代」の入学者選抜 (2010年11月25日)
大学入試の抜本改革はセンター試験の廃止から (2011年1月16日)
「終焉」した大学入試に対応が急務だ (2012年2月11日)
大学改革実行プラン 「衝撃」は軽視できない (2012年6月8日)
高大接続諮問 受験競争が無になる大改革だ (2012年9月2日)
実行会議4次提言 半年遅らせただけの「大改革」論議(2013年11月2日)
大学入試改革 「人物本位」は誤解を招く(2013年11月9日)
大学入試改革 各方面で「覚悟」を(2013年11月21日)
【関連本社配信記事】
「高大接続テスト」はどうなったの? (ベネッセ教育情報サイト 2010年12月2日)
「高大接続テスト」は「入試」ではない!?(同 2010年12月16日)
1点刻みの「入試」は不要に? 全入時代の大学入学 (同 2010年12月22日)
「21世紀型」大学入試が世界の潮流に!? (ベネッセ教育情報サイト 2012年1月16日)
「学生に勉強させる」大学に 中教審が提言 (同 2012年5月10日)
いずれはセンター試験の存廃も課題に!? (同 2012年5月24日)
入試に依存した高校教育は衰退する―「高大接続テスト」提唱者・佐々木隆生氏に聞く― (月刊高校教育2012年6月号)
大学入試を大改革へ......「一発勝負」「1点刻み」なくなる!?(ベネッセ教育情報サイト 2012年7月5日)
教えて!「中教審に高大接続の新部会」 (キャリアガイダンス.net 2012年8月29日)
大学入試、わずか1年で「大改革」を提案?(ベネッセ教育情報サイト 2012年9月13日)
センター試験はどうなる? 大学入試の「大改革」検討 (同 2012年11月1日)
2013年の大学入試「大改革」はどうなる‐渡辺敦司‐(同 2013年1月7日)
高校版「全国学力テスト」を大学入試にも活用?-渡辺敦司- (同 2013年2月7日)
教えて!「センター試験が廃止される?」 (キャリアガイダンス.net 2013年6月18日)
センター試験「廃止」は本当か‐渡辺敦司‐(ベネッセ教育情報サイト 2013年6月27日)
入試以外でも変革を......必要な大学と高校の「教育」改革‐渡辺敦司‐ (同 2013年10月6日)
教えて!「大学入試は今後どうなる?(第4次提言を受けて)」 ?」(キャリアガイダンス.net 2013年11月19日)
大学入試の「1点刻み」見直し、なぜ必要? ‐渡辺敦司‐ (ベネッセ教育情報サイト 2013年12月11日)
東大の推薦入試は「教育再生実行会議」の先取り? ‐渡辺敦司‐(同 2014年2月26日)
教えて!「達成度テストって何?」 (キャリアガイダンス.net 2014年3月19日)
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2014年6月21日 (土) 社説 | 固定リンク
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