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シリコンは電気的には異方性材料である。シリコン抵抗はひずみゲージに使われる(ピエゾ抵抗効果)によって、抵抗を配置した結晶方位に依存して歪みの影響を受ける。
最近では、通常のICでは、ピエゾ抵抗効果も考慮してIC中の抵抗を配置している筈である。
プラスチックパッケージではパッケージとシリコンの線膨張がかなり異なるので、大きな歪みが生じている。ICがオペアンプで、抵抗がピエゾ抵抗効果の大きな方位に配置されていると、熱歪みに伴い内部の差動増幅器の抵抗が変化する。
アナログエンジニアは、プラスチックパッケージが産業用にも使われ始めたころに、オペアンプのオフセット電圧の「温度ヒステリシス」を経験している。30年ほど前のことである。
原因はパッケージの熱応力に伴うピエゾ抵抗効果によるオペアンプ初段の不均一熱応力に起因するオフセット電圧変化である。クリープも伴っている。
センサ屋は、種々の効果や物理法則を知っているので、我々のGrではほどなく原因を突き止めた。ピエゾ抵抗効果の大きさは結晶方位依存性が大きく、方位を選べば抵抗の熱応力に伴う変化を大きく軽減することができる。
今では、大抵の半導体メーカでは、ピエゾ抵抗効果を考慮してウェハーの結晶方位を選んでいることだろう。
センサに用いられる種々の現象・効果はその材料を用いる素子にも公平に表れる。
センサ材料の特性を知ることは、逆に、たとえば抵抗の温度変化などの要因を取り除く技術にもつながるのである。
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