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機械屋さん出身の方は「百聞は一見にしかず」的考えが多いような気がする。普段、目に見える物を相手にしているので実物主義。図面がなくとも実物とその動きを見れば理解が高まる。
電子回路屋さんは、まず回路図から考える。電気は目に見えず、普通は人間の五感では検出できないからである。
電子回路は電子回路を含む計測器を頼りにして、あちこち測定して電圧や電流を測り、回路が予想どうりに動いているか否かを測る、実感する。この作業を繰り返し、電圧や電流がある程度以上予想どうりになっている経験を通じて、電気を見ている気になっているだけだ。
電子計測器はその内部に電圧や抵抗の標準器を内蔵しており、これを基に種々の電気量を計測する。その確からしさは、最終的に国家標準あるいは世界標準に繋がる校正の連鎖により保証されるのが常である。
電気量は計測により可視化できる。したがって、計測器の原理や信号処理の内容を知らなければ、電気を見たことにならない。
電気計測器を電子回路に接続すると、電子回路からエネルギーをとるので回路状態に影響を与える。常に負荷効果を考えて計測結果を評価することが大切である。
高周波なら、電気は波としての性質が表面化するから、あらかじめインピーダンスを考慮した計測点を作っておく必要もある。
電気は精密科学であるので、いくつかの電気量は計測環境が整っておれば10^-6程度の確からしさは通常の実験室環境で実現できる。
電気は目に見えない。電気に関する法則を理解し、計測方法に熟知することにより初めて電気量を実感することができる。意外に複雑な論理の連鎖である。同時に、目に見えない量を体感する必要があるので、抽象度が機械・機構などより高い。抽象度の高い世界に慣れていれば、具象化された世界の理解はより楽になる。
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