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「ストレッチは効果がない」と感じている人に試してほしい、5つのポイント

[ 2024年12月9日 09:00 ]

ストレッチは簡単な運動として紹介されていることが多いですが、実は奥が深くやり方次第で効果が大きく変わってきます。ここでは、ストレッチの効果を最大限に引き出すためのポイントをご紹介します。

1.どの筋肉を伸ばしているのかを知る

雑誌や本、ネットなどで「肩こりに効く」「腰痛を改善させる」などと紹介されているポーズを試すことも多いでしょう。見ながら真似て行うストレッチでも、効果は期待できます。

しかし、実際にどの筋肉が伸びているのかを理解していないと、効果は低いものです。

大切なのはポーズをとることではなく、伸ばしたい筋肉がしっかり伸びていること。伸ばしたい筋肉にしっかり伸びを感じるかどうか、確認しながら行うようにしましょう。

2.もっとも筋肉が伸びやすいタイミングで行う

効果的な方法のひとつが、ストレッチの効果が高まりやすいタイミングで行うこと。そのカギは「筋温」にあります。

筋温が低いときは筋肉が伸びにくく、ストレッチ時の痛みも感じやすい状態となります。そのため、筋肉を伸ばす前に痛み(伸張痛)を感じてしまうことも。

しかし筋温が高まると伸張痛を感じにくくなり、より筋肉を伸ばすことができるのです。

筋温が高まりやすいタイミングは、運動後や入浴後。このタイミングでしっかりストレッチすることで、効果を高めることができるでしょう。

3.呼吸で筋肉の伸びが変わる

もうひとつ簡単にできる方法として挙げられるのが「呼吸」。呼吸を意識するだけで、カラダに大きな変化がもたらされます。

よく「ストレッチ中に息を止めないように!」と言われますが、それは血圧が高まるのを抑えるだけでなく、筋肉を伸びやすくするためでもあります。

また、息を吐くことによって副交感神経が高まり、副交感神経が働くとカラダがリラックスして筋肉が伸びやすくなるのです。

ストレッチをする際は深い呼吸を意識し、伸ばす力を入れる際はゆっくりと息を吐きながら行うとよいでしょう。

4.反対側の筋肉を縮める意識で行う

筋肉は縮むことしかできず、自ら伸びることはできません。筋肉には、おもに動く筋肉(主働筋)と、主働筋とは逆に動く筋肉(拮抗筋)という表裏の関係があります。

たとえば太ももの表側の筋肉"大腿四頭筋"の拮抗筋は、太ももの裏側の"ハムストリングス"。大腿四頭筋が縮まればハムストリングスは伸び、ハムストリングスが縮まれば大腿四頭筋が伸びるという関係性です。

スタティックストレッチでは体重をかけて筋肉を伸ばすので、拮抗筋を意識することはほとんどないかもしれません。しかし、その際も拮抗筋に力を入れ縮めるように意識すると、伸ばしている筋肉が伸びやすくなるはずです。

ハムストリングスを伸ばすために長座体前屈をするのであれば、伸ばしている最中に大腿四頭筋を縮めるようにグッと力を入れるとよいでしょう。

主働筋と拮抗筋の関係、そしてストレッチ中は拮抗筋に力を入れることを意識してみてください。

5.細かく角度を変えて行う

ストレッチはほんの少し角度を変えるだけで、伸びる場所や伸びやすさが変わります。これは、見様見真似のストレッチではわからないことです。

試しにやってみましょう。まず、片膝を曲げた長座体前屈の姿勢をとってみてください。このストレッチは、ハムストリングスを伸ばすストレッチとして代表的なものです。

そこから、以下のようにそれぞれ10秒間行ってみましょう。

1)つま先を天井方向に向けたままカラダを倒してキープ
2)つま先を外向きにしてカラダを倒してキープ
3)最後につま先を内側に向けてカラダを倒してキープ

ただつま先の向きを変えただけでも、伸びている場所が異なっていることを感じられるはずです。

では、もう一つ実践してみましょう。顔の前を横切るように片腕を横に伸ばし、反対側の手で横に伸ばした腕を抑えます。これは、三角筋を伸ばす代表的なストレッチです。

このときに試してもらいたいのが手のひらの向き。以下2つで、それぞれ10秒間行ってみてください。

1)手のひらを自分に向けたまま伸ばしてキープ
2)手のひらを返し、手の甲を自分に向けて伸ばしてキープ

手のひらを返し、手の甲を自分に向けて伸ばした方が、三角筋が伸びたと感じた人が多いのではないでしょうか。

このように、少しの角度によってストレッチの効果が変わります。

基本的なポーズを確認したら、脚や腕の角度、手のひら、つま先の向きなどを変えながら、自分が気持ちいいという角度を探しながら行いましょう。

大切なのはポーズより筋肉の伸びを感じること

柔軟性は個人で異なります。同じポーズでも、しっかり伸びる人もいれば伸びる感じを得られない人もいるでしょう。

大切なのはポーズを取ることではなく、しっかり筋肉を伸ばすこと。ここでご紹介したポイントを参考に、効果的なストレッチで柔軟性を向上させましょう。

著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴16年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院での治療サポートの経験もあり、ケガの知識も豊富でリハビリ指導も行っている。スポーツ系専門学校での講師や健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師経験も多数。そのほか、テレビや雑誌でも出演・トレーニング監修を行う。日本トレーニング指導者協会JATI-ATI。
【HP】https://wada0129.wixsite.com/takumiwada

<Text:和田拓巳>

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