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辰吉寿以輝 衝撃の2回失神KO負け...父の前で初タイトルならず、吉井寛会長「再戦は考える」

[ 2024年12月13日 04:30 ]

東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 しろまる王者 中嶋一輝《2回2分13秒TKO》同級6位 辰吉寿以輝くろまる ( 2024年12月12日 東京・後楽園ホール )

<OPBF東洋太平洋Sバンタム級タイトルマッチ 中嶋一輝・辰吉寿以輝>2回、左フックで辰吉(左)をKOする中嶋(撮影・沢田明徳)
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元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎(54)の次男で、東洋太平洋スーパーバンタム級6位の寿以輝(28)が、初のタイトル挑戦で王者・中嶋に2回TKOで敗れプロ10年目で初の黒星を喫した。ワンパンチで沈む、衝撃的な失神KO負けで試合後は担架で運ばれた。父が初めて日本王座を獲得した聖地の後楽園ホールで初のベルト獲得を逃したが、父は再起して王者との再戦を期待した。

衝撃のKO決着に満員の後楽園ホールはどよめきに包まれた。プロ初の黒星を喫した寿以輝はリング上で大の字に。18戦目で巡ってきた初のタイトル挑戦は無残にもわずか5分ほどで終わりを告げた。

リングサイドから両親や妻と2人の子供が見守る中、父が90年9月に日本タイトルを獲得した時のコスチュームをモチーフにした、白地に水色のラインが入ったガウンとトランクスでリングイン。1回から右カウンターを合わせて応戦も、2回に王者の左オーバーハンドをもろに浴びて仰向けに倒れる失神KO負け。「相手のパンチは当たっても倒れる気はない。最後に倒したもん勝ち」と4年ぶり3度目の聖地でのKO勝ちを宣言していたが見せ場はほとんどなかった。父が日本バンタム級王座を獲得した後楽園ホールで初の戴冠とはならず、試合後は担架で運ばれた。

左対策は実らなかった。10月には帝拳ジムに出稽古し、日本バンタム級王者の増田陸らとスパーリングを行ってきた。前日計量では「(サウスポーは)親父同様苦手と思われているが、全然苦手ではない」と強気に言い放っていたが、無念の結果に。医務室で意識は回復し、控室には歩いて戻ったが試合後の対応はなかった。大阪帝拳ジムの吉井寛会長は「硬さもあったかな。左に対してまだ研究不足やった」と残念がった。

それでも陣営は王者へのリベンジに前向き。同会長は「すぐではないが、もちろん(再戦は)考える」と話した。同じく再戦を望む父も去り際に言葉を残した。「負けを知らん人間は天下を獲られへんわ」。浪速のジョーの意志を受け継ぐ息子に、父の願いはきっと届く。

◇辰吉 寿以輝(たつよし・じゅいき)1996年(平8)8月3日生まれ、大阪府守口市出身の28歳。小さい頃から父・丈一郎の手ほどきでボクシングに親しむ。それ以外のスポーツ経験はなし。守口二中卒業後はボクシングから離れていたが、父の後を追って14年11月にプロテストを受験。15年4月にプロデビューし2回KO勝ち。戦績は16勝10KO1分け1敗。家族は妻と1男1女。1メートル68の右ボクサーファイター。

《中嶋作戦勝ちV2》中嶋が鮮やかな左で辰吉を仕留めた。積極的に前に出た2回、左が奇麗に辰吉の顎を捉えて失神KO勝利となった。2度目の防衛に成功した王者は「冷静に戦えた。左は狙っていた。距離を詰めて、下を見ながら上を狙った」と作戦勝ちだった。大橋会長は「勝ったのはうれしいけど、ちょっと複雑ですよね」と、対戦相手が現役時代から知り合いの辰吉丈一郎の息子だっただけに難しい表情だった。

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