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【虎番リポート】"献身の加治屋"は阪神から楽天へ 自分のことよりも...欠かさなかった若手へのアドバイス

[ 2024年12月28日 05:15 ]

5月、鳴尾浜球場で若手に声をかける加治屋
Photo By スポニチ

加治屋の人柄が垣間見えたのは、5月のことだった。2軍の鳴尾浜で若手に頻繁に声をかける姿を、何度も目にした。助言を送っているのだろうか。内容が気になると同時に、少し不思議に感じた。プロは結果が全て。昔に比べて優しい時代になったとはいえ、ライバルでもある後輩たちに率先して目配りする右腕が気になり、本人に真意を尋ねた。

「2軍では、あまり試合に出ていない選手が多い。だから上(1軍)と下(2軍)の差をできるだけなくせるようにと思って」

若虎たちに、プロの世界で生き残るすべを伝えていた。ライバルが増えれば、それだけ自分が追い込まれることになるのにもかかわらず、だ。当時の加治屋は苦しんでもいた。開幕から状態が上がらず、自身の悪送球による失点などで2軍に降格した後だった。ソフトバンク時代の18年に72試合、阪神移籍3年目の23年に51試合に登板した実力を発揮できないでいた。巻き返しへもがく中でも、後輩やチームのことを考えていることに驚いた。

今思い返すと、1軍でも献身的な姿勢を何度も目にした。ビジター球場では、試合前のウオーミングアップを投手と野手が一緒に行う。記者も近くで見られるのだが、観客がいないスタンドに、33歳シーズンだった加治屋のひときわ大きな声が響き渡っていた。

「それは(ソフトバンク)ホークス時代からですかね。年齢に関係なく、アップから声を出す。それをこっち(阪神)でも出そうと思っていた。そういうのを見て、後輩たちが自分も、と思ってくれれば、もっと活気のあるチームになる」

今季限りで阪神を自由契約になり、来季からは楽天でプレーする。子供を保育園に預けた足で、ママチャリに乗って、甲子園に練習に来ていた心優しきパパ。新天地でも、仲間のために、チームのために腕を振るはずだ。(杉原 瑠夏)

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