協定を結んでいる国から日本で働く場合の加入すべき制度

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更新日:2024年3月8日

1.二重加入の防止について

被用者の場合

協定発効前

海外において被用者として就労する人が事業主により日本に派遣される場合、日本の社会保障制度に加え、派遣元国の社会保障制度に二重に加入しなければならないことがありました。

【協定発効前】

協定発効後

原則

協定により原則として就労する国の社会保障制度のみに加入することになります。つまり、派遣元国の事業主により日本の支店などに派遣された場合や現地の企業に採用された場合には、日本の社会保障制度のみに加入することになります。

【協定発効後】

一時派遣(5年以内)

しかしながら、事業主により日本に5年を超えない見込みで派遣される場合には、協定の例外規定が適用されます。すなわち、引き続き派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日本の社会保障制度の加入が免除されます。((注記)協定によっては、派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始日から5年間は派遣元国の社会保障制度のみに加入し、日本の社会保障制度の加入が免除されます。)

一時派遣 (5年以内)

同一期間に両国で同時に就労する場合(日英・日韓協定のみ)

日本国の領域内および相手国の領域内において同時に就労する場合は、生活の本拠を基準として、その国の年金制度のみに加入することになります。日本に生活の本拠を置く場合には、日本の年金制度のみに加入し、協定相手国の年金制度の加入が免除されます。協定相手国に生活の本拠を置く場合には、協定相手国の年金制度のみに加入することになります
(注記)就労元国に生活の本拠を置く場合の例

同一期間に両国で同時に就労する場合(日英・日韓協定のみ)

加入する社会保障制度

加入する社会保障制度は、就労状況や派遣期間により以下のようになります。

加入する社会保障制度

(注)協定によっては、派遣期間の見込みにかかわらず、派遣開始日から5年間は協定相手国の社会保障制度のみに加入することになります。また、派遣期間が5年を超える場合、申請に基づき、両国関係機関間で協議し合意した場合には、引き続き協定相手国の社会保障制度のみに加入することが認められます。

自営業者の場合

上記の「被用者の場合」の考え方は、被用者だけではなく自営業者にも当てはまります(ただし、オーストラリア、インドおよび中国との協定では、自営業者が相手国の年金制度の強制加入対象者ではなく、二重加入とならないことを理由として対象外としています。また、フランスとの協定では個別の申請に基づいて自営業者の適用調整を行っています)。例えば、協定相手国の自営業者が一時的(5年以内)に日本で自営活動を行うのであれば、引き続き協定相手国の社会保障制度のみに加入することになりますが、長期的(5年超)に日本で自営活動を行う場合は日本の社会保障制度のみに加入することになります。なお、協定相手国で自営業をしていない人が日本で初めて自営活動を行う場合は、日本の社会保障制度に加入することになります。

海上航行船舶の乗組員などの場合

海上航行船舶の乗組員などについては、協定ごとに加入する国が異なります。

2.日本での就労期間の延長

日本での就労期間を延長する必要がある場合には、協定相手国の事業主(自営業者の場合は本人)から協定相手国の実施機関に対し日本制度の加入免除期間の延長を申請することができます。
原則として日本の社会保障制度の免除は5年ですが、日本制度の加入免除期間の延長が認められる場合があります。延長が認められるためには両国関係機関間での合意が必要です。なお、5年を超えた延長期間の上限はそれぞれの協定により異なります。

なお、上記の延長期間の上限を超える場合は、原則として、日本の社会保障制度のみに加入します。

3.随伴家族の適用免除

協定相手国から日本に一時的に派遣され、その国の社会保障制度に引き続き加入して日本の社会保障制度の加入が免除される場合、同行する配偶者および子(「随伴家族」といいます。)の適用は以下のようになります。免除の手続きには証拠書類の提出が必要です。

なお、日本の制度の加入が免除の扱いとなる方でも、希望する場合は、届出をして加入することができます。

一時派遣元の協定相手国 随伴家族の在留資格*** 日本の制度の加入

ドイツ
韓国
アメリカ
ベルギー
フランス
カナダ
オーストラリア
チェコ*
スペイン
アイルランド
ブラジル
スイス
ハンガリー**
インド
ルクセンブルグ
フィリピン
スロバキア
中国
フィンランド
スウェーデン
イタリア

「家族滞在」
(一時派遣者の被扶養者)
免除
「家族滞在」以外
(一時派遣者の被扶養者ではない)

個別に決定
(主に、生計を一時派遣者の所得に頼っているか等により審査)

英国
オランダ
(随伴家族の特別な規定はない。)

強制加入

* チェコ協定は年金制度のみが対象です。よって、随伴家族は、国民健康保険および後期高齢者医療制度については、強制適用となります。

** ハンガリー協定では、随伴家族は年金制度が免除となる他、随伴家族がハンガリーの医療保険制度に加入している場合に限り、日本の国民健康保険制度および後期高齢者医療制度の加入が免除されます。

*** 在留資格は、外国人の在留カードまたは外国人住民票に表記されています。

免除の手続きに必要な証拠書類

(1)在留資格が「家族滞在」の場合に必要な書類

  • 協定相手国機関が発行した一時派遣者にかかる適用証明書
  • 一時派遣者との続柄を確認することのできるアまたはイ
    ア.外国人住民票
    イ.アに準ずる書類
  • 在留資格が家族滞在であることを明らかにすることのできる書類であって次のいずれかに該当するもの
    ア.在留カード
    イ.外国人住民票
    ウ.アまたはイに準ずる書類

(2)在留資格が「家族滞在」以外の場合に必要な書類

  • 協定相手国機関が発行した一時派遣者にかかる適用証明書
  • 一時派遣者との続柄を確認することのできるアまたはイ
    ア.外国人住民票
    イ.アに準ずる書類
  • 健康保険法における被扶養者の認定にあたり必要とされている書類

参考:協定相手国別の注意事項

英国

アメリカ

オランダ

チェコ

4.健康保険による海外療養費の支給

協定相手国から日本へ長期派遣され日本の医療保険制度に加入している人が、協定相手国で診療を受けたときに、日本国内で保険診療を受けた場合に準じた海外療養費が支払われます。海外療養費の請求は、加入する医療保険制度の保険者に対して請求を行います。

5.協定の発効日前から日本で就労している場合

協定の発効日前から日本に派遣され就労している被用者または協定の発効日前から日本において自営活動を行っている(協定相手国で従事していた自営活動を一時的に日本で行っている)自営業者については、日本での就労期間が協定発効日から5年を超えないと見込まれる場合、日本の制度の加入が免除されます。((注記)協定によっては、就労期間の見込みにかかわらず、協定発効日より5年間は日本の制度の加入が免除されます。)

6.協定相手国別の注意事項

7.必要な手続き

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