10 薄切
大型ブロックの場合
ブロックが台木についていない場合。
組織を染色し顕微鏡で観察するために組織を薄く切りスライドグラスに貼付ける
- ブロックを台木につけるためのセットを用意する(台木、電気ゴテ、ものさし、刺身包丁、空気清浄機)。
- ものさしでブロックサイズをはかり、スライドグラスのサイズを決める。スライドグラスの上に切片が乗るように、余分なパラフィンを刺身包丁等で削りとっておく。
- 台木のブロックを乗せる面には、あらかじめパラフィンでコーティングしておく。
|
- ブロックを台木に乗せてから、電気ゴテでブロックの周囲のパラフィンを溶かしていく。
- 台木をコーティングしているパラフィンとブロック周囲のパラフィンの双方を溶かして融合させることで台木にブロックを固定する。
!注意! ブロック底面のパラフィンを溶かしてつける必要はない
|
- ブロックと台木の間に隙間がある場合や、ブロック周囲のパラフィンが薄くてサンプルに電気ゴテが触れてしまいそうな場合など、必要に応じてパラフィンを溶かして補充してあげる。
|
|
|
|
- 荒削り用の替刃を装着する。
- 前回本削り用替刃として使ったものを荒削り用とする。
- 替刃はフェザーのS35L を使用している。
- ブロックに映る替刃の影が一定の太さに見えるようにブロックの角度を調整する。
|
- 切面がでるまでトリミングする。できるだけ組織を減らさずに組織面を完全に出すようにする。
|
- パラフィンの削りかすは大筆で払い掃除機で吸い取ることで、ミクロトーム周囲を常に清潔に保つ。
|
- ミクロトームに本削り用替刃を装着する。
- その際、荒削り用替刃と同じ位置に替刃を装着することで、替刃交換による組織のロスを最小限にすることができる。
- 替刃装着後、切片の厚さを調整する。
|
- 薄切する切片をすくいあげるのに便利な小筆とヘラ。このヘラは割り箸を削って作成している。ヘラは厚紙などでも代用できる。
- ヘラと小筆は蒸留水であらかじめ湿らせておく。
|
- 薄切する際に息を吐きかけることで組織に湿度を与えると薄切がスムーズにできる。
- 薄切用自動加湿器を用いるとより良い。
|
- 小筆とヘラを使って切片をとる。十分に湿度を与えるときれいにとることができる。
|
|
- 切片上に水滴がついた場合は、放置せずにキムワイプなどで速やかに吸い取る。そのままにするとその部分が膨潤してしまう。
|
|
|
- 湯浴式パラフィン伸展機にはった40°Cの蒸留水に、スライドグラスを静かに沈めることで切片を浮かせる。
- 数秒間浮かべてシワをのばす。
|
- 切片が伸展したら小筆を使いスライドガラスに切片をのせる。
|
- 湯浴式パラフィン伸展機から切片を引き上げたところ。
|
|
- スライドガラスの上に濡らした2枚重ねの濾紙をのせて手で押さえる。
|
|
- スライドガラスをパラフィン伸展機の上で乾かす。
- 水分が完全に乾くまで置いておく。
|
- 薄切が終了したらブロックをミクロトームから取り外し、さらに台木から取り外す。
- 刺身包丁の刃をブロックと台木の間にあてて、垂直方向に力を入れることで簡単に取り外すことができる。
|
|
- ブロックは溶けたパラフィンにつけて切面をカバーする。
|
|
薄切の際に気をつけること
- 薄切した切片にほこりがつかないようにするために、蒸留水や湯浴式パラフィン伸展機の上に簡単なフタをすると良い。
|
スライドグラスのコーティング
大型ブロックに使用するスライドグラスは特注している。コーティングをお願いすると高額になるためコーティングなしで購入し薄切する際に自分でコーティングしている。
|
|
- キムワイプなどで卵白グリセリンをスライドグラス全面に薄く塗り広げる。
|