森田長太郎

オールニッポン・アセットマネジメントチーフストラテジスト/ウォールズ&ブリッジ代表

もりた・ちょうたろう/1988年慶応大卒、日興証券入社。さらにドイツ証券、バークレイズ・キャピタル証券を経て2023年10月から現職。マクロ経済、金融・財政政策、債券需給などを分析。著書に「経済学はどのように世界を歪めたのか」「国債リスク」など。

「トランプ・トレード」いつまで続く?選挙後1年間で米株21%上昇の2016年との違い

2024年12月4日

「トランプ・トレード」いつまで続く?選挙後1年間で米株21%上昇の2016年との違い

米大統領選後、金融市場は「トランプ・トレード」で活況だが、「トランプ・ラリー」と呼ばれた第1期トランプ政権の2016年と比べると長期金利の上昇は鈍く、日欧との方向感もばらばらだ。米経済のファンダメンタルズは当時と違い、米株価上昇やドル...

日銀金融政策は米景気"3つのシナリオ"に依存、1ドル「100〜110円」超円高コースの展開とは?

2024年10月9日

日銀金融政策は米景気"3つのシナリオ"に依存、1ドル「100〜110円」超円高コースの展開とは?

金融正常化を進める日銀の今後の利上げは、米国景気の軟着陸やリセッションなど「三つのシナリオ」のうち、どのケースで展開するかにかかる。FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利がどこまで低下し、日米金利差→ドル円レート→国内景気へと波及...

追加利上げ後に「円高急伸・株価暴落」、日銀の決定は正しかったのか?

2024年8月7日

追加利上げ後に「円高急伸・株価暴落」、日銀の決定は正しかったのか?

日本銀行の追加利上げを機に円高が141円台まで進む一方、日経平均株価は大幅下落した。日銀が利上げを急ぎ過ぎたという批判もあるが、行き過ぎた円安回避には妥当な判断だ。国債買い入れ減額計画はやや慎重過ぎる感があるが、巨額政府債務を考える...

国債利払い費1%上昇はGDP比1.3%の「実質減税」に!?利上げで利息増の家計プラス効果

2024年6月12日

国債利払い費1%上昇はGDP比1.3%の「実質減税」に!?利上げで利息増の家計プラス効果

日本銀行の追加利上げを巡り、国債利払い費増加による赤字財政への懸念がいわれるが、政府債務利払い増の反対側では受け手である家計への実質的な減税効果がある。米国ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによる財政赤字拡大の下でも景気が減...

日銀の物価目標「2%」固執は根拠が曖昧な"懐古趣味"、柔軟運用に切り替えを

2024年4月17日

日銀の物価目標「2%」固執は根拠が曖昧な"懐古趣味"、柔軟運用に切り替えを

金融政策正常化に踏み出した日本銀行だが、利上げをどこまで進めるかはみえない。金融政策運営の基本にしている「2%物価目標」の根拠は曖昧で、デフレに陥った際の大変さを意識した強迫観念のようなものだ。長過ぎた「緩和のコスト」も意識されつ...

米国株と金利「同時上昇」の新潮流、見えなくなった本当のランディング・シナリオ

2024年2月21日

米国株と金利「同時上昇」の新潮流、見えなくなった本当のランディング・シナリオ

米経済は株価と金利が同時に上昇する流れになり「逆相関」が目立った2022〜23年と様相が違ってきた。金融引き締めが続く中で景気は逆に再拡大局面に入りつつあるようにみえ、利下げや景気減速の予想が大勢だったコロナ禍後の米経済の「ランディング...

2024年日米金融政策は"逆行"、ドル円相場「120円台」は現実シナリオか

2023年12月20日

2024年日米金融政策は"逆行"、ドル円相場「120円台」は現実シナリオか

2024年は米国の利下げ局面入りと、異次元緩和正常化に動くことが予想される日本との金融政策が逆向きになる可能性が高い。貿易・サービス収支の赤字縮小で実需面からも1ドル120円台方向への円高圧力が高まるが、対外証券投資増の流れがある程度続け...

所得減税「2つの反対論」は正しいのか、"生煮え"財政論議に欠ける視点

2023年10月25日

所得減税「2つの反対論」は正しいのか、"生煮え"財政論議に欠ける視点

岸田首相が表明した「所得減税」に対する財政再建重視とインフレ警戒からの反対論は従来の発想から抜け出ていない。供給ショックへの備えが重要になり、また家計のインフレ期待が上昇している中でこれらに焦点を絞ったものにしないと反対論は上滑り...

米長期金利4.3%超、昨秋の上昇パターンと違うピーク更新の「主役」

2023年8月30日

米長期金利4.3%超、昨秋の上昇パターンと違うピーク更新の「主役」

米国では長期金利が4.3%を超え昨年秋のピークを超えたが、昨秋と違い市場の関心は自然利子率(r* )や中立金利の上昇の予想が中心だ。仮に水準が上昇しているとしたら長期金利の水準感も変わり、為替相場や日銀の政策運営への影響も大きい。

市場惑わす「YCC修正」と「米景気後退」、日米2つの"逃げ水現象"の行方

2023年6月28日

市場惑わす「YCC修正」と「米景気後退」、日米2つの"逃げ水現象"の行方

日銀がYCC修正に踏み出すという市場の予想は6月の金融政策決定会合でも裏切られる一方、米国では景気後退に入るとの予想が後ずれし続けている。日米で異なる「逃げ水」現象だが、YCC修正は米国景気が鍵となることは間違いない。

金利や世界経済はコロナ収束で「元の姿」まで戻るのか?中央銀行が注視すべき課題

2023年4月26日

金利や世界経済はコロナ収束で「元の姿」まで戻るのか?中央銀行が注視すべき課題

IMFはコロナ収束後も自然利子率は世界金融危機で下方屈折した低い水準で推移すると分析するが、労働力不足などへの対応で投資が活発化し「長期停滞」時とは違っている。低いままの自然利子率を前提にした金融政策でいいのか、注意が必要だ。

米利上げ減速で目立つFRBと市場の乖離、「金融危機後の10年」に回帰するのか

2022年12月21日

米利上げ減速で目立つFRBと市場の乖離、「金融危機後の10年」に回帰するのか

米FRBの利上げ減速に将来の利下げを織り込んで長短金利の逆ザヤが進む。市場は「金融危機後の10年」のように「ディスインフレの認識」が再燃した形だが、コロナ危機を「インフレトレンドへの転換」の契機とする見方もあり、金融政策運営は難しいか...

日本国債市場「機能不全」の異常、英国債暴落"トラス・ショック"は他人事ではない

2022年11月9日

日本国債市場「機能不全」の異常、英国債暴落"トラス・ショック"は他人事ではない

英トラス前政権は大規模減税策が国債暴落を招き崩壊したが、日銀の異次元緩和が約10年続いている日本国債の市場も正しいシグナルを発し得る状況とは思えず、政治が判断を間違うリスクがあることには注意が必要だ。

「FRBvsサマーズ論争」白熱、米景気は"ソフトランディング"できるのか

2022年8月10日

「FRBvsサマーズ論争」白熱、米景気は"ソフトランディング"できるのか

失業率の大幅上昇を回避しながらインフレ抑制が可能と利上げを加速するFRBと景気の「ハード・ランディング」を懸念するサマーズ元財務長官らの論争が白熱する。鍵は労働供給が回復するかどうかだが、直近では事態は悪化している。

1ドル135円まで円安加速、「良い円安・悪い円安」論より重要な政策コストの吟味

2022年6月15日

1ドル135円まで円安加速、「良い円安・悪い円安」論より重要な政策コストの吟味

円安を止めるために日本ができるのは財政出動と同時に日銀が低利政策をやめて金利上昇を促すしかない。重要なのは「良い円安、悪い円安」ではなく、その「政策コスト」を払うことが正しいのかを十分に議論することだ。

岸田新政権の「統治と分配」は短命の橋本型か、長寿の小泉or安倍型か

2021年10月6日

岸田新政権の「統治と分配」は短命の橋本型か、長寿の小泉or安倍型か

岸田政権は「官邸主導」を修正しているように見え、分配政策もこれまでの政権とは違う「現在世代の中での分配」を志向するが、低成長下では新たな統治スタイルが機能しないと、政府債務が拡大するだけになる懸念がある。

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