パナマ文書は日本居住者に
どれほどのインパクトを与えるか
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世界に波紋を広げる「パナマ文書」
日本人と日本企業へのインパクトは?
パナマ文書が世界中に波紋を広げている。各国政府も解明に乗り出し、今後わが国でも、個人や法人の名前が明るみに出てくることが予想される。その場合、何が問題となるのだろうか、何を問題とすべきだろうか、考えてみた。
パナマのモサック・フォンセカは、個人や法人がタックスヘイブン(正確にはオフショア金融センター)で会社を立ち上げ、資金を運用する手伝いを業とする法律事務所である。そこから、2.6テラバイトとも言われる大量の内部文書が流出し、それが国際調査報道ジャーナリスト連盟(ICIJ)の手にわたって、世界各国のマスコミが連携して内容を解明している。
一挙に膨大なデータが流出したのはIT時代ならではの事件であり、政治学者のイアン・ブレマー氏は、これこそIT時代の「forced transparency」だとコメントしている。流出した情報の中身は、1970年代から2015年までの40年間に作成された顧客情報に関する機密文書で、この中にはタックスヘイブンに設立された会社の財務情報や銀行口座情報が含まれているという。企業の設立先は英領バージン諸島、バハマ、パナマなどで、口座開設などに関与した銀行は、クレディスイス、UBS、HSBCとお馴染みの顔ぶれだ。
ここまでなら「いつもの話」で終わるのだが、今回全く異なるインパクトを与えたのは、文書の中に大統領(プーチン)、首相(キャメロン)、国家主席(習近平)などの政治家をはじめ、スポーツ選手、芸能人といった世界的に有名な人々の情報が出てくることだ。その政治的インパクトは計り知れないものがある。すでにアイスランドのグンロイグソン首相が辞任、キャメロン首相も追及され、新興国の首脳にも波及している。14日からのG20財務相会議で急遽議論されることとなった。
そもそもタックスヘイブンに集まる金の出どころは、麻薬・賄賂・脱税の3つ、集まる動機もマネーロンダリング、脱税、租税回避、資金の秘匿などと言われている。ただし、タックスヘイブンでは一般に会社設立が容易でコストが安いことなどから、日本を含む多くの多国籍企業や金融機関、ファンドなどが合法的に会社を設立し、投資や運用を行っている。これは経済活動の一環と言え、「パナマ文書に含まれていたから問題」という図式にはならないだろう。
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