5分でわかる「パナマ文書」事件の経緯と深刻さ
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中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から機密扱いだった金融取引文書が大量に流出し、オフショア取引を利用して各国の有力者から犯罪者まで、様々な面々が租税回避やマネーロンダリングなどを行ってきたという情報が明るみになった。各国では首脳らが弁明に追われており、アイスランドでは首相の辞任にまで発展。膨大な量となる資料の全容が解明されるまでには数年かかるとの報道もあり、今後さらに世間を驚かす人物の関与が発覚する可能性もある。(取材・文/ジャーナリスト 仲野博文)
オフショア企業の立ち上げを行う
パナマの法律事務所の内部資料がリーク
今回の騒動は今から1年以上前、ドイツのミュンヘンにある南ドイツ新聞に匿名の内部告発者が接触したことに始まる。情報提供者の詳細については明らかになっていないが、この人物はパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の内部資料を、暗号化したデータファイルで南ドイツ新聞に送り、「この法律事務所が行ってきた犯罪行為を世に知らしめてほしい」とファイルの公表を要請。そこから数ヵ月の間に、さらに追加資料がデータファイルで送られ、南ドイツ新聞が受け取ったファイルの合計は2.6テラバイトに達した。
2010年にウィキリークスでアメリカの外交公電の内容が流出した際にも世界中が大騒ぎとなったが、この時のデータの合計は1.7ギガバイト。南ドイツ新聞に送られたデータの合計は、その1500倍以上。2.6テラバイトのデータの中身は、メールだけで480万通以上あり、PDFや画像ファイルも300万点以上が存在する。
英BBCは5日、1977年から昨年12月までの間に、モサック・フォンセカと関係があった企業や信託、基金、個人は、判明しているだけでも21万件以上と伝えている。モサック・フォンセカはこれまでに24万を超えるオフショア企業の立ち上げを行ってきたが、4日に「これまでに不正行為は一度もなかった」との声明を発表している。
オフショア取引とは、法人税や源泉所得税が皆無に等しいタックスヘイブンに資産を移し、管理・運用するもので、世界的に有名な大企業や富裕層が節税対策でオフショア取引を用いるケースは少なくない。オフショア取引を国策として行う国も少なくなく、カリブ海のケイマン諸島や英領バージン諸島、ヨーロッパではルクセンブルグやモナコ、またアメリカでも東部デラウェア州はオフショア取引のメッカとして知られている。
オフショア企業の設立自体は非合法ではないが、南ドイツ新聞が入手したデータでは、多くのケースでオフショア企業のオーナーに関する情報が隠蔽されていたため、マネーロンダリングや武器・麻薬の売買などにオフショア企業が使われている可能性が高いとして、調査報道が始まったのだという。
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