「もしトラ」ならインフレ再燃懸念浮上、「もしハリ」なら成長率押し下げ...米経済の未来図
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トランプ氏の公約である関税引き上げは輸入価格を引き上げ、移民抑制は労働需給逼迫を通じてインフレ圧力を高めることは確実だ。一方、法人税増税をはじめとする増税の公約の多いハリス氏の施策は、成長率を押し下げることになりそうだ。特集『「もしトラ」「もしハリ」損得勘定』(全11回)の#1では、「もしトラ」「もしハリ」それぞれの米国経済へのインパクトを検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
激戦州ではトランプ氏が
僅差でリード
トランプ氏かハリス氏か。米国の大統領選挙の帰趨はいまだ見えない。
米国の世論調査収集サイトであるリアルクリアポリティクスによると10月8日時点で、支持率では民主党の大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領が、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領を2.0ポイントリードしている。
では、ハリス氏が有利かというとそうも言い切れない。米国の大統領選挙は直接選挙ではなく、州ごとにそれぞれの候補が獲得した選挙人の投票で決まる間接選挙である。
全50州のうち多くの州は民主党、共和党のどちらかが勝利することが確実になっている。選挙ごとに勝利する政党が変わる激戦州を、どちらの候補が獲得するかにより勝敗が決する。
激戦州とされるペンシルべニア州など7州の支持率を見ると、10月8日時点でトランプ氏リードが4州、ハリス氏リードが3州だ。とはいえ、支持率の差はどの州も2ポイント以内。残り1カ月を切ってもどちらに転ぶかはまだ分からない。
米国経済はソフトランディングに成功するとの見方が多い。9月の雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比25.4万人の増加と市場の予想を上回り、7月と8月の数字も上方修正された。雇用に対する急激な悪化懸念は薄らいだ。
インフレ率は落ち着きつつある。消費者物価上昇率の前年同月比は7月が2.9%、8月が2.5%、9月が2.4%と3カ月連続で2%台となり、低下傾向が続いている。
FRB(米連邦準備制度理事会)は、景気の過度の減速を回避すべく利下げを進めることができそうだ。
実質GDP(国内総生産)成長率は「2%前後で推移する」(小林俊介・みずほ証券チーフエコノミスト)と予想される。
しかし、これは現状の政策が続けばこそである。新しい大統領によって経済にインパクトのある政策が講じられれば当然変化する。
次ページでは、トランプ氏とハリス氏の公約している施策を分析しつつ、米国経済へのインパクトを検証する。
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