歯学部「淘汰危険度」ランキング2024【私立17大学】ワースト1位の大学は国試合格率も3割で最下位
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「歯科医院がコンビニエンスストアより多い」「一部の歯科医師はワーキングプア」といわれ続け、今や歯学部はすっかり不人気学部となってしまった。学生に敬遠されるようになった結果、一部の私立大学歯学部は存亡の危機にひんしている。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#14では、私立大17歯学部「淘汰危険度ランキング」の2024年最新版をお届けする。( ダイヤモンド編集部 竹田孝洋、野村聖子)
今や不人気学部の代名詞
歯学部「淘汰危険度ランキング」
「予習・復習といった基本的な学習習慣すら身に付いていない学生が多い」――。
地方にある歯科大学の教員をしている40代の歯科医師は、昨今の学生についてこのように述べ、大きなため息をついた。
一部の歯学部で見られる学生の質の低下、これは長らく続いている歯学部の不人気故に他ならない。私立大学においては、直近5年間の入学定員充足率(2019〜23年度)が100%を切っている、つまり定員割れの歯学部が約7割を占めている。これだけ世間で歯科医師余りが叫ばれ、「歯科医院がコンビニエンスストアより多い」「歯科医師は稼げないワーキングプア」といわれ続けていれば、学生に敬遠されるのは当然だ。
厚生労働省「令和4年 医師・歯科医師・薬剤師統計」によれば、22年には統計開始以来、初めて歯科医師の数が減少に転じた(本特集#1『過剰だった歯科医師に"不足説"が浮上、ワーキングプアから「5年目で年収1200万円」勝ち組職種への大転換』参照)。
それでもまだ10万人を超えており、15年に厚生労働省が発表した「歯科医師需給問題の経緯と今後への見解」が示している適正医師数8万2000人(人口10万人に対して歯科医師71.4人)よりも多い。
では、なぜここまで歯科医師余りとなってしまったのか。その根源は、1960年代後半から70年代前半にさかのぼる。高度経済成長で人口が急増する中、近未来の歯科医師不足が危惧されるようになったのだ。
折しも田中角栄首相の「1県1医科大学構想」と共鳴し、「人口10万人に対して歯科医師50人」を目標として、歯学部・歯科大学は一気に倍以上に増加した。
しかし、その50人という数字に達するまで10年とかからず、そのペースで歯科医師が急増。慌てた国は、86年より逆に各歯学部に定員削減を求めるようになるが、時すでに遅し。2000年代半ばには、歯科医師過剰による競争の激化により、特に都市部では歯科医院の廃業が取り沙汰されるようになる。
こうして、今日まで続く「歯科医院がコンビニエンスストアより多い」「一部の歯科医師はワーキングプア」という風潮が出来上がった。
とどめは、国が歯学部定員の削減計画とともに、歯科医師国家試験の難化方針を進めたことだった。これにより、各歯学部の国家試験合格率が悪化。ますます受験生離れが起こり、歯学部は不人気にあえぐようになった。
受験生が集まらなければ、おのずと入試は易化し、入学する学生のレベル低下を招く。そして、授業に付いていけない学生の増加で、休学・留年率が上昇し、国家試験の合格率も低下する。その結果、合格率の低い歯学部は、ますます受験生から敬遠されるという悪循環に陥るのだ。
文部科学省は、各歯学部の教育の質を測るものとして、毎年秋にその年の「各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果」を公表している。
この資料には幾つかの指標が示されているが、歯学部教員経験者など歯学教育に詳しい関係者、歯学部予備校幹部らによると、重視すべきは各歯学部の入学定員充足率、修業年限6年での国家試験合格率、6年次での休学・留年率だ。これらの指標が思わしくない歯学部は大学教育の質が悪いと見なされ、国からの定員削減の圧力が高くなるということである。
さらに、これら3指標が思わしくない歯学部は、当然受験生から敬遠され、学費が集まらず、大学経営にも支障を来す。次ページでは、私立大学の17歯学部を対象に、入学定員充足率、修業年限6年での国家試験合格率、6年次での休学・留年率における19〜23年度の5年間平均に、ダイヤモンド編集部の分析による財務指標を加えて、独自の「歯学部淘汰危険度ランキング」を公開する。
記事一覧
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