17歳の特攻隊員「ユキ」が両親宛てに最後の手紙、封筒の隅に書いた「小さな4文字」とは

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午前4時には飛行場へ行き、発進準備を整えなければなりません。

もうしばらくすれば、トラックが来て、彼らは暁闇(ぎようあん)のなかを飛行場へ向かうことになります。

彼は罫紙をひろげると、鉛筆を握りました。

めずらしく鉛筆書きのくずした草書体で、しかし、力づよく、走り書きしています。

前略
御両親様始め皆様元気の事と思います。
幸雄は愈々本二十七日、決戦場へ向け出発します。
就きましては出撃前夜に刈りたる遺髪及最后まで飛行服に着けてあった七二振武隊の「マーク」をお送り致します。
では呉々も御身体を大切に
乱筆にて失礼
幸雄
御両親様

封筒の裏に――

昭 二〇、五、二七
鹿児島県川辺郡加世田町 飛龍荘
荒木幸雄

と記し、父、丑次さん宛ての表書きは、力のはいった大ぶりの文字で書き、左下に寄せてやや小さく、次の四文字を添えています。

(遺品在中)

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