台湾海峡危機で追い込まれたのはむしろ中国、威嚇以外に打つ手なし

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ペロシ米下院議長と蔡英文台湾総統 Photo:AFP PHOTO / TAIWAN’S PRESIDENTIAL OFFICEペロシ米下院議長と蔡英文台湾総統 Photo:AFP PHOTO/TAIWAN’S PRESIDENTIAL OFFICE

米国下院議長ペロシ氏が台湾を訪問したことで始まった台湾海峡危機。中国が米国を非難し、強気で台湾を威嚇する一方で、米軍も日本の自衛隊も動かず、当の台湾でもいつも通りの日常が続いている。しかも、よく見ると妙なことがいろいろあるのだ。軍事演習が始まったのは、ペロシ氏が台湾を発った「翌日」だった。そしてミサイルを撃ったのは、台湾の領空侵犯にならないカーマンラインの上。ペロシ氏本人の「中国が軍事行動を起こしたのは、私が女だから」という発言......中国は何のために台湾を威嚇したのか。そしてこの軍事演習に対する中国人の反応は?(フリーランスライター ふるまいよしこ)

ペロシ氏訪台に反発、中国軍が演習を行った「台湾海峡危機」

ペロシ米下院議長の訪台で一挙に高まったといわれる「台湾海峡危機」。8月4〜7日の4日間、中国軍は台湾を取り囲むようにして6カ所の演習区域を設定し、実弾射撃を伴う「重要軍事演習行動」を実施した。

この行動は、1996年3月に初めて総統を選ぶ直接選挙で李登輝総統(当時)の再選を阻もうと台湾海峡にミサイルを打ち込んだ記憶に比べられた。ちょうど今年も台湾は年末には統一選挙を控えており、総統選ではないものの、蔡英文政権にとっては「中間選挙」のような意味がある。1996年にはこの「威嚇」によって票がなだれ込んだ李登輝氏陣営が圧勝し、中国には苦い思い出となっているはずだ。それなのに、また似たような行動を取った中国には、どんな「勝算」があったのだろうか?

今回のペロシ議長の訪台について中国は、「終わりに近づいた政治生命に花を飾るためにアジアを混乱させようとする妄動」と述べ、ペロシ議長をあえて「政客」という、中国語では「政治ブローカー」のようなネガティブな意味を持つ言葉を使って形容した。中国では一般選挙という制度自体がないため、人々にとっての選挙とは想像上のものでしかない。政権はそれを利用してそれを「ポピュリズムの極致」とけなし、選挙によって選ばれた政治家たちを「私利私欲にまみれたあくどい政治屋」とイメージ付けることで自身の政治体系を正当化する。

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