アパレルのタブー「長く着られる服」でベンチャー参戦!大量生産・大量消費と決別
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大量生産・大量消費という従来のアパレルのビジネスモデルからの脱却を志すベンチャー企業が現れ始めた。長く着てもらうため、リユースやリサイクルといったアフターサービスを充実させ、大ヒットを狙わず受注生産で手堅く稼ぐ。特集『アパレル 知られざる「サステナ淘汰」』(全8回)の#5では、サステナブルに活路を見いだすアパレルベンチャーの野望と課題を追った。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
「10年着られる服」で業界のタブーに挑む
顧客の「飽きた」を解決する染めかえサービス
「10年着続けたいと思える服作り」――。こんなコンセプトを掲げ、アパレルの旧来型のビジネスモデルからの脱却を模索するベンチャー企業が10YC(テン・ワイ・シー)だ。
一般的な製造業ならば、長持ちする製品は消費者にとって"良い商品"である。しかしアパレル業界で、「長く着られる服」はタブー扱いされていた。売り上げと利益を確保するため、大量生産・大量消費のビジネスモデルから抜けられない。多くの大手アパレルはこんな"負の連環"に陥っている。
10YCの下田将太代表は大手アパレル出身で、かつては自身もそうしたビジネスに染まっていた。下田氏は新卒入社したアパレルベンチャーがアダストリアに買収され、主力ブランド「グローバルワーク」の生産に携わった。
最初は何百億円もの売り上げのある事業を動かすことが楽しかった。ところがある時、「1万円のTシャツを洗濯したら、すぐによれよれになった」と友人に告げられた。このことを契機に、服を売った後の顧客の体験についても考え始めた。これが10YCの原点だという。
業務の合間の週末、国内の工場を訪ねて回った。それまでは中国やベトナムなど海外生産の経験しかなく、日本の工場の現場の声を聞きたかったという。実際に話を聞くと、「いいものを作りたい」という思いが強いあまり、生産力を度外視して頑張り過ぎてしまうという国内工場の傾向に気が付いた。
「国産は価格勝負では負けるかもしれないが、出来上がった服を着たときの経験は全然違うはずだ。これを伝えたい」――。2017年、下田氏は独立して10YCを創業した。ところがすぐさま壁にぶつかってしまう。
「10年着られる服」を標榜したものの、顧客から「汚れたがどうしたらいいか」「飽きてしまった」という声が数多く届いたのだ。長く着るためには、服の物理的な品質だけでは不十分で、心理的な問題を解決する必要があると気付いたのだ。
そこで生まれたのが、服を染めかえるアフターサービスだった。
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