三菱自が日産ルノー連合を離脱する日、唯一の打開策はホンダとの提携か

ダイヤモンド編集部
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三菱陥落#8

三菱商事出身の益子修・三菱自動車前会長が死去した。三菱自動車は2021年3月期に3600億円の巨額赤字に転落する見通しで、アライアンスを組む日産自動車や仏ルノーもそろって赤字に転落し、3社連合は崩壊の危機にある。三菱自の経営チームのまとめ役であり、3社連合の折衝役でもあった実力会長の喪失は痛手だ。三菱自の経営への関与度を強める三菱商事は、三菱自や自らの自動車事業の将来戦略のためにどのような手段を講じようとしているのか。特集『三菱陥落』(全10回)では三菱グループが描く自動車の将来シナリオを予測した。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

三菱商事が日産から奪った経営主導権
それでも三菱自再建は「いばらの道」

8月27日、益子修・三菱自動車前会長が逝去した。退任を表明してからわずか20日で帰らぬ人となった。三菱自が独ダイムラーに提携交渉を打ち切られた直後に三菱商事から派遣され、その後、約16年の長きにわたって経営再建に尽力してきた実力者の喪失は、三菱自の経営にとって大きな打撃となるはずだ。

益子前会長は病身を押して、"最後の仕事"として7月27日に発表した中期経営計画を策定した。ASEAN(東南アジア諸国連合)への本格シフトという大方針が示された直後であり、また計画の詳細を詰めていたのが生え抜きの加藤隆雄・三菱自CEO(最高経営責任者)だったことから、表向きでは三菱自の経営層に大きな混乱はないようにも見える。

ある三菱商事関係者は「むしろ動揺していたのは三菱自よりも三菱商事の上層部だったのではないか。茫然自失という言葉がぴったり当てはまる」と証言する。おそらく、三菱商事の上層部はこれからボディーブローのように効いてくる「益子氏不在」の痛手を予期しているのではないだろうか。

二つの意味で、益子社長は"扇の要"の役割を果たしていた。一つ目は、出身母体がバラバラの三菱自経営陣をまとめる役割であり、二つ目はアライアンスを組む日産自動車や仏ルノーとの折衝役としての役割である。

三菱商事は三菱自の大株主であり、事業パートナーでもあるという"2つの顔"を持ち、三菱自の経営に大きな影響力を持っている。

果たして、三菱商事は経営危機にある三菱自をどうサポートしようとしているのか。また、三菱商事は2021年3月期に500億円の最終赤字に転落する自動車・モビリティグループの浮上策をどのように描いているのか(本特集#2の『「三菱自動車を切り捨てない」三菱商事のキーマン、自動車部門CEO激白』では、三菱商事の自動車・モビリティグループCEOの独占インタビューを配信している)。

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