コロナ対策と経済の両立は、消費税引き下げでもGo Toでもない
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今、日本経済にとって必要なのは新型コロナウイルス感染症の対策と経済対策を両立させる施策だ。「Go To トラベルキャンペーン」はそれに当たるのだろうか。また、緊急的に消費税増税を元に戻すという意見も聞かれるが、これは妥当な策なのだろうか。2019年10月の増税後の経済的影響を分析した上で、今求められる経済対策を考えてみたい。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
消費税増税とコロナショックの影響
7月8日の本連載で、コロナ感染症の緊急事態宣言の経済的影響について取り上げた。(「もし緊急事態宣言が再発令されたら、日本経済はどうなるか」)
その時は説明を簡略化したかったので、消費税増税の影響については書かなかった。しかし現実として、消費税増税のマイナスのショックの後にコロナショックがあったことから、この2つのショックをどう総合して考えればよいのかは、消費税増税を元に戻すという議論もある中で重要な論点である。これらに加えて、コロナの対策についても考えてみたい。
消費税とは消費に課税する税だから、消費税が1%引き上げられれば、その分だけ消費が減少すると考えるのが普通だろう。「増税によって将来の社会保障制度が安心できるものになるから消費税のショックは小さい」と主張するエコノミストもいたが、現実には、消費税の増税分以上に経済が停滞した。
それについては、8月3日の本連載「コロナで永遠の謎に、2014年4月消費税増税の影響が大きかった理由」で書いたが、増税分以上にどれだけ停滞するのかは分からない。そこで、ごく単純に、2019年10月の8%から10%への消費税増税は、消費の2%分、すなわち6兆円のGDPを引き下げて、その後、過去のトレンド(年率1%)で上昇していくと考える。
ただし、消費税増税を前にした駆け込み需要や駆け込みの反動減、前述の消費税引き上げ分以上に消費が減ってしまう現象があって、上記の考えを明確に数字に表すのは難しい。
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