コロナで永遠の謎に、2014年4月消費税増税の影響が大きかった理由
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新型コロナウイルス感染拡大の影響は、足元の経済にも大きな影響を与えているが、過去の経済政策に対する評価や検証を困難にさせるという、経済学者にとっては非常に厄介な事象を引き起こしている。その最たる例が2014年4月の消費税増税の影響だ。(名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰)
多くの専門家が見誤った
2014年4月の消費税増税(5%から8%への引き上げ)に関しては、多くのエコノミストや経済学者が、その影響は小さいと予想していた。政府が行った13年8月の「集中点検会合」および14年11月の「点検会合」では、「消費増税で景気は腰折れしない。公共投資が景気を支える」「消費増税を景気回復の初期にやる方が、景気反落リスクが小さい」などという発言があった(宮嵜〈2018〉図表6-3、による)。
ところが、多くのエコノミストの予想を超えて、14年4月の消費税増税の影響は大きなものとなった。これはなぜだろうか。
予想以上に大きかった消費税増税の影響
「予想を超えて影響が大きかった」とは、以下の意味においてである。
消費税増税によって増税分だけ実質所得が減少する。その影響は、1989年度マイナス2%、97年度マイナス1.5%、2014年度マイナス1.5%と考えられる(現実の引き上げ幅と異なっているのは、消費のうちには増税されないものもあるからである)。
実質所得の減少分だけ消費が減少し、その後、過去のトレンドに沿って消費が伸びていくと普通は考えられる。現実には、消費税増税前の駆け込み、その後の反動減があって複雑になるが、それを捨象すると、上記に述べたようになる。
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