量子コンピューターの産業応用にMUFGとみずほが熱視線を送る理由
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量子コンピューターにはどんな使い道があるのか。産業応用に近いと期待されているのは、金融と化学の分野だ。メガバンクや日本の大手化学メーカーは、米IBMと共に量子コンピューターの可能性を探っている。量子コンピューターの最前線に迫る特集『乗り遅れるな!量子ビジネス』(全6回)の#2では、産業応用を目指す企業の動きを追った。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
IBMの量子コンピューターを
「1億回使った」三菱UFJ銀行
米IBMがクラウド上で公開している量子コンピューター。その"ヘビーユーザー"の一人に、あるメガバンクの担当者が名を連ねている。
「これまでに1億回以上使いました」
こう語るのは、三菱UFJ銀行システム企画部IT戦略グループの田中智樹調査役。金融業界での可能性を探るべく、量子コンピューターを使い倒しているのだ。
2016年5月に5量子ビットの量子コンピューターをクラウド上で公開したIBM。それ以降も装置の性能が上がるとともに利用可能な台数は増えていき、現在は15台をクラウド上で"触る"ことができる。
日本IBMの森本典繁執行役員によれば、15台の量子コンピューターの稼働率は97%以上。これまでに全世界で101社の20万人以上が利用し、累計で1400億回以上の計算が実行されたという。
IBMが"虎の子"の量子コンピューターをクラウド上で公開する理由について、日本IBM東京基礎研究所の福田剛志所長は、「量子コンピューターを作り、単なる"箱"として売っても価値がない。ユーザーやアプリケーションが存在し、価値を引き出す企業がいて初めてビジネスが成り立つ」と語る。ユーザー企業に積極的に関わってもらうことで、産業分野での量子コンピューターの使い道を見いだそうとしているのだ。
それでは、今量子コンピューターの活用に積極的な業界はどこなのか。
福田所長によれば、101社の中でも参加企業が多いのは、金融と化学業界だという。そしてパートナー企業として日本勢で名を連ねているのが、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループ、三菱ケミカル、JSRの4社。日本の金融、化学業界の雄である。
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