中国発「新型肺炎」の爆発的流行は、どこまで警戒すればいいのか
詳細はこちら
パンデミックはあるか?
中国発「新型肺炎」の恐怖
中国の武漢市で新型肺炎が発生し、感染者は現時点で41人と公表されました。そのうち1人が死亡、7人が重症に陥り、さらに足元では日本人への感染が確認されたというニュースが波紋を呼んでいます。新しい病原体による感染症は、展開によっては「パンデミック」と呼ばれる世界規模の流行を引き起こす可能性があるからです。
新しい病原体の世界的流行というと、2002年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)、2009年に発生した新型インフルエンザ、2012年に発生したMERS(中東呼吸器症候群)、2015年に世界的に流行したジカ熱、そして世界的流行になりかけた2014年のエボラ出血熱などが思い起こされます。
今回の新型肺炎は、エンデミック(地域流行)、エピデミック(流行)、パンデミック(世界流行)の3段階でいうと、まだ「これからエピデミックに移行する可能性がある」レベルにあると思われます。しかし、気がかりなのは中国の春節が近いことです。
新型肺炎の最初の発症報告は昨年の12月12日で、病原体の候補として新型のコロナウィルスが検出されたのが1月9日。魚市場の関係者が感染したという事実以外、まだ潜伏期間や感染経路は十分に解明されていません。そんな中、春節を迎えて大量の帰省客が武漢を訪れ、そのまま中国各地に戻っていくこと、さらにその後日本をはじめとする海外へ渡航することを考えると、場合によってはそれがパンデミックにつながる可能性があるわけです。
気がかりなのは、SARSやMERSを引き起こしたのもコロナウイルスだったことです。2002年に大流行したSARSは、香港など中国南部を中心に8096人が感染しました。SARSは一見感染者の数が少なかったように見えますが、アウトブレイクした範囲が中国、香港、シンガポール、カナダと広範囲だったこと、罹患者の9.6%が死亡するという非常に高い致死率だったことから、人々を恐怖に陥れました。
今回の新型肺炎は、SARSの教訓を受けて、現地政府機関が初動でその流行を抑え込んでいるようです。それにしても、私たちは数年おきにこのような新しい病気の発生に恐怖を覚え続けています。新型肺炎は、どこまで警戒する必要があるのでしょうか。
あなたにおすすめ