2017年10月6日
「土壌は温暖化を加速するのか?─アジアの森林土壌が握る膨大な炭素の将来」
国立環境研究所「環境儀」第66号の刊行について(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付)
平成29年10月6日(金)
国立研究開発法人国立環境研究所
編集分科会委員長 :三枝 信子
〃 担当WGリーダー :横畠 徳太
〃 事務局(環境情報部情報企画室)
室長 :阿部 裕明
担当 :川尻 麻美
国立研究開発法人国立環境研究所
編集分科会委員長 :三枝 信子
〃 担当WGリーダー :横畠 徳太
〃 事務局(環境情報部情報企画室)
室長 :阿部 裕明
担当 :川尻 麻美
国立研究開発法人国立環境研究所(以下、「国立環境研究所」という。)は、研究成果等をわかりやすく伝える研究情報誌「環境儀」の最新号、「土壌は温暖化を加速するのか?─アジアの森林土壌が握る膨大な炭素の将来」を刊行します。
地球の土壌中からは、年間840〜980億トンの炭素が土壌呼吸として土壌から大気中に放出されていますが、そのうちの約7割は、土壌中の微生物が有機物を分解する時に放出(土壌微生物呼吸)されるものと考えられています。これは、人間の活動によって排出される二酸化炭素量の約10倍に相当しますが、温暖化によりわずかでも温度が上がれば、有機物の分解が急速に進み、温暖化に拍車をかけるという悪循環が懸念されています。しかし、特にアジア地域においては、有機物分解に関わる観測データが不足しているため、地球全体の陸域における炭素循環の推定値は不確実性が大きいことが課題となっています。
本号では、独自に開発した観測システムを用いて、アジア地域の森林を中心に行っている土壌微生物呼吸の温暖化への応答に関する研究について、観測手法や研究成果とともに紹介します。
地球の土壌中からは、年間840〜980億トンの炭素が土壌呼吸として土壌から大気中に放出されていますが、そのうちの約7割は、土壌中の微生物が有機物を分解する時に放出(土壌微生物呼吸)されるものと考えられています。これは、人間の活動によって排出される二酸化炭素量の約10倍に相当しますが、温暖化によりわずかでも温度が上がれば、有機物の分解が急速に進み、温暖化に拍車をかけるという悪循環が懸念されています。しかし、特にアジア地域においては、有機物分解に関わる観測データが不足しているため、地球全体の陸域における炭素循環の推定値は不確実性が大きいことが課題となっています。
本号では、独自に開発した観測システムを用いて、アジア地域の森林を中心に行っている土壌微生物呼吸の温暖化への応答に関する研究について、観測手法や研究成果とともに紹介します。
1 本号の内容
○しろまるInterview 研究者に聞く「チャンバー観測システムで土壌呼吸に及ぼす温暖化の影響を探る」
森林の土壌は大量の有機炭素を蓄えており、土壌呼吸によって二酸化炭素が放出されます。土壌中の炭素の動態は地球の炭素循環に大きな影響を与えるため、注目を集めています。本号では、独自に開発した観測システムを用いた、地球温暖化が土壌呼吸を含めた森林の林床部の炭素収支に与える影響研究について紹介します。
<研究担当者>
-
梁 乃申(りゃん ないしん)
地球環境研究センター
炭素循環研究室 主任研究員
○しろまるSummary「アジア地域の森林を中心とした土壌呼吸の温暖化応答の把握」
温帯林及び熱帯雨林における土壌呼吸の変動とその要因はなにか、温暖化環境下で土壌呼吸はどう変化したのか、また、土壌呼吸の促進は更なる温暖化を引き起こすのかについて、観測結果に基づいて紹介します。
○しろまる研究をめぐって「温暖化や攪乱に対する土壌呼吸の観測研究の動向」
陸域生態系における炭素収支の観測は世界の約920地点で行われていますが、土壌呼吸に関してはほとんど報告されていませんでした。そこで、観測システムを開発し、土壌呼吸を中心とした森林生態系における炭素収支の観測研究を展開しました。その動向を紹介します。
2 閲覧・入手についての問い合わせ先
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本号掲載URL
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既刊「環境儀」掲載URL
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国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
TEL: 029-850-2343、E-mail: pub(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
関連新着情報
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2025年9月8日報道発表温暖化による春の早まりは
高山帯の紅葉の色づきを弱くする
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(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付) -
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〜1998年から2012年の温暖化減速期についての分析〜
(文部科学記者会、科学記者会、環境記者クラブ、環境記者会、筑波研究学園都市記者会、神奈川県政記者クラブ、横須賀市政記者クラブ、青森県政記者会、むつ市政記者会、高知県政記者クラブ、沖縄県政記者クラブ、名護市駐在3社) -
2023年12月6日報道発表温暖化による生物の分布拡大が在来種に及ぼす影響を評価
トンボをモデルに温度上昇で在来種の採餌量が減少することを解明
(大阪科学・大学記者クラブ、農政クラブ、農林記者会、文部科学記者会、科学記者会、環境記者会、環境問題研究会、東大阪市政記者クラブ、奈良県政・経済記者クラブ、奈良県文化教育記者クラブ、筑波研究学園都市記者会、弘前記者会同時配付) -
2023年8月4日報道発表光を使って地中の有機物と微生物活性を推定する新手法を開発
〜野外における炭素循環研究の効率向上に期待〜
(北海道教育庁記者クラブ、文部科学記者会、科学記者会、松本市政記者クラブ、長野市政記者クラブ、筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境問題研究会、九州大学記者クラブ同時配付) -
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過去20年で同国において
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—気候変動速度(VoCC)の指標を用いて
全国各地の気候変動の影響を初めて推計—(長野県庁 県政記者クラブ、筑波研究学園都市記者会、林政記者クラブ、農政クラブ、農林記者会、京都府政記者室・クラブ、環境省記者クラブ、環境記者会、農業技術クラブ同時配付) -
2017年10月18日報道発表
タケ、北日本で分布拡大のおそれ
〜里山管理の脅威になっているモウソウチクとマダケ(産業管理外来種)の生育に適した環境は温暖化で拡大し、最大500km北上し稚内に到達〜(宮城県政記者会、科学記者会、文部科学記者会、大学記者会、京都大学記者クラブ、環境省記者クラブ、環境記者会、筑波研究学園都市記者会、気象庁記者クラブ同時配付) -
2017年9月25日報道発表
北極に運ばれるブラックカーボンはどこからくる?〜地上ではロシアから、上空ではアジアからが多いことが判明〜
(お知らせ)(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、文部科学記者会、科学記者会同時配付) -
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—富士山頂で東アジア全体が把握できるCO2濃度が観測可能と判明—(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付) - 2014年10月9日お知らせ地球観測連携拠点(温暖化分野)平成26年度ワークショップ「海洋観測の現状と展望—地球環境科学への貢献—」開催のお知らせ【終了しました】
- 2013年10月31日お知らせ地球観測連携拠点(温暖化分野)平成25年度ワークショップ「陸域における炭素循環及び生態系・生物多様性観測の最近の動向」開催のお知らせ【終了しました】
- 2013年8月20日更新情報CGERリポート「地球環境観測データとモデル統合化による炭素循環変動把握のための研究ロードマップ」を掲載
- 2011年8月12日報道発表国立環境研究所の研究情報誌「環境儀」第41号 「宇宙から地球の息吹を探る−炭素循環の解明を目指して」の刊行について(お知らせ)(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配付 )
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